名古屋駅周辺に続き、その南に位置する「ささしま」の再開発が佳境へ

今年3月31日に竣工したグローバルゲート。4月からはオフィステナントの入居が始まっている今年3月31日に竣工したグローバルゲート。4月からはオフィステナントの入居が始まっている

今年4月17日に「JRゲートタワー」の商業施設がオープンし、「大名古屋ビルヂング」「JPタワー名古屋」など、高層ビルの開業ラッシュが続いた駅前の再開発が一段落した名古屋。3月29日には名古屋鉄道から名古屋駅再開発の計画が発表され、全長400mの横に長い高層ビルに注目が集まっているが、その完成はリニア中央新幹線が開業する2027年と、まだ遠い。

そんな名古屋で今、最も熱い視線が注がれているのが、名古屋駅の南に位置する「ささしまライブ24」地区の再開発である。

2005年、日本国際博覧会「愛・地球博」のサテライト会場として注目を集めた同地区。名古屋駅の至近にある貴重な大規模空間を有効活用しようと、その後も「国際歓迎・交流の拠点」をコンセプトに新たなまちづくりが進められてきた。

「愛・地球博」の開催に合わせてオープンした商業施設「マーケットスクエアささしま」、ライブホール「Zepp Nagoya」に続き、2009年6月には「JICA中部国際センター」が開業。その後も「愛知大学名古屋キャンパス」、「ロイヤルパークスERささしま」、「THE ART GRACE」、「中京テレビ放送」の新社屋が次々と完成した。そして今年3月には愛知大学の第二期工事が完了し、同地区の中核施設となる「グローバルゲート」も竣工。10月にはグローバルゲート内の「名古屋プリンスホテル スカイタワー」や商業施設などが開業し、盛大なイベントとともに同地区の「まちびらき」を迎える予定である。

応募倍率は約17倍! 関心の高さを示した「ささしまライブ見学ツアー」

今年10月の「まちびらき」を半年後に控えた3月26日、「ささしまライブまちびらき記念祭」の半年前イベントとして、抽選で選ばれた名古屋市民などが参加する「ささしまライブ見学ツアー」が開催された。同ツアーを主催したささしまライブ24まちづくり協議会の発表によれば、募集人数60名に対し、応募総数は483組1027名。応募倍率はおよそ17倍で、ささしまライブ24の再開発への関心の高さがうかがえる数字となった。

ツアー当日はあいにくの雨。3月下旬にもかかわらず厚手のコートが必要なほどの寒さの中、定刻の13時30分には、集合場所のささしまライブ駅に抽選で選ばれた家族連れなどが集まり、案内役を務めたスタッフの説明に熱心に耳を傾けた。

(左上)ささしまライブ見学ツアーで案内スタッフの説明を聞く参加者たち。(左下)愛知大学と中京テレビ放送の建物の間には公園が整備されている。(右上)線路の下をくぐりぬける車道「椿町線アンダーパス」。大規模な鉄道施設で長年分断されてきた中村区太閤地区とささしまライブ24地区が繋がる。(右下)渡り初めとなった歩行者デッキ(左上)ささしまライブ見学ツアーで案内スタッフの説明を聞く参加者たち。(左下)愛知大学と中京テレビ放送の建物の間には公園が整備されている。(右上)線路の下をくぐりぬける車道「椿町線アンダーパス」。大規模な鉄道施設で長年分断されてきた中村区太閤地区とささしまライブ24地区が繋がる。(右下)渡り初めとなった歩行者デッキ

椿町線アンダーバス、グローバルゲート、愛知大学の内部などを公開

同ツアーではまず、工事が進む「椿町線アンダーパス」へ。足場が悪いことから、当日はトンネル内まで降りるのは見送られたが、地上部から鉄道下にトンネルが貫通する様子を見学した。その後、一旦ささしまライブ駅まで戻り、愛知大学までつながる完成直後の歩行者デッキを歩行。同ツアーがこのデッキの“渡り初め”となった。

歩行者デッキに接続するグローバルゲートでは、3月末に完成する前の高層タワーの2階の一部を公開。その後は南北の歩行者デッキを進み、同じく3月末に第2期工事で完成する前の愛知大学の本館(研究棟)へ。超高層校舎の壁に空いた穴(エコボイド)や、グローバルコンベンションホールなどが披露された。参加者たちは一様に変わりゆくささしまライブ24の姿を興味深く見つめていた。

(左上)グローバルゲートの商業施設内にできるオープンエアプラザのイメージ(中庭空間)。(左下)見学ツアーで公開されたグローバルゲートの高層タワーの内部。(右上)緑で覆われる予定の商業施設の南側壁面。(右下)愛知大学本館のグローバルコンベンションホール(左上)グローバルゲートの商業施設内にできるオープンエアプラザのイメージ(中庭空間)。(左下)見学ツアーで公開されたグローバルゲートの高層タワーの内部。(右上)緑で覆われる予定の商業施設の南側壁面。(右下)愛知大学本館のグローバルコンベンションホール

交通の要衝として日本の産業を支えてきた「旧国鉄笹島貨物駅跡地」

そもそも「ささしまライブ24」地区は、交通の要衝として日本の産業を支えてきた場所だ。

この地区の歴史は、明治19年、現在の笹島交差点付近に旧名古屋駅が開業したことにはじまる。その後、現在地に名古屋駅が移転して昭和12年に笹島貨物駅が開設。昭和7年の完成当時「東洋一の大運河」と評された中川運河とあわせ、陸路と海路が結節する物流の一大拠点として機能してきた。

ただ、トラック輸送などの発達によりその機能は徐々に低下していった。昭和61年に貨物駅がその役目を終えて廃止された後は、長年にわたり名古屋の都心部に残された大規模遊休地となっていた。そして、新たなまちづくりに向けて土地の有効利用を図るべく、名古屋市が1999年度から土地区画整理事業に着手し、現在に至っている。

このように、陸と海をつなぐ交通の要衝として栄えた歴史を持つ「ささしまライブ24」。そんな同地区は今後、名古屋の観光をつなぐ拠点として大きな役割を果たしそうだ。

レゴランドがある名古屋港とも繋がり、名古屋の観光の新たな拠点に

中川運河の堀止め周辺には緑地が整備され、水辺に美しい景色が広がる市民の新たな憩いの場になる中川運河の堀止め周辺には緑地が整備され、水辺に美しい景色が広がる市民の新たな憩いの場になる

同エリアにある中川運河の掘止め船だまりからは、中川運河を南下する遊覧船の就航が計画されている。これにより、「レゴランドジャパン」の開業が話題となるなど、観光拠点として整備が進む金城ふ頭と名古屋駅が、電車だけでなく船でも繋がることになる。

また、中川運河の起点となる堀止め一帯は、親水公園として整備が進められているほか、南部にある露橋水処理センターで高度処理された下水再生水をささしまライブ24地区へと大量に送水し、中川運河に放流して水質改善を図る計画も進行中である。そうなれば、都心部に直結するウォーターフロントとして、名古屋観光の目玉となる大きな可能性を秘めている。

10月の「まちびらき」まであと4ケ月ほど。1999年に土地区画整理事業が始動し、20年近い歳月を掛けて再開発が進められてきた新たな名古屋の顔が、いよいよ誕生の時を迎えようとしている。

2017年 06月12日 11時05分