2017年の干支は丁酉(ひのと・とり)、その意味するところは?

十二支は、国によって入っている動物が違い、猫が入る国もあれば、ワニが入る国もある十二支は、国によって入っている動物が違い、猫が入る国もあれば、ワニが入る国もある

師走も押し迫ってくると、正月気分も盛り上がり、クリスマス一色だった街並みも、純和風へと模様替えをし始める。仕事では、来年のカレンダーを配る挨拶回りに追われ、書店の店頭には手帳や暦が大量に並べられている。

年の瀬になって初めて、2017年の干支は酉(とり)だったっけ?と思う人も多いことだろう。そこで今回は、「酉」という年はどんな意味を持っているのか?そもそも干支とはどんな意味があるかについてご紹介しようと思う。

干支というと、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の十二支を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。「本当は亥はブタのことだよ」 とか 、「ベトナムでは十二支に猫が入るんだって」 と言ったようなうんちくはさておき、実は干支の本質は動物とは関係がない。

そもそも干支とは、十干(じっかん)と十二支を組み合わせた60種類存在し、それぞれに意味を持っている。では2017年の干支は?と言うと、十干は丁(ひのと)、十二支は酉(とり)に当たるため、合わせて丁酉(ひのと・とり)の年ということになる。実はこの丁酉年は、少しやっかいなことを意味している。それを知るために、まずは十干と十二支のそれぞれの意味についてご紹介しよう。

十干=五行思想×陰陽思想、生命の成長過程をあらわす

十干とは、簡単に言えば5×2=10の組み合わせである。5は世界の全ては5つの元素、木・火・土・金・水で成り立っているという「五行思想」、2は東洋思想の根幹ともいうべき、世界の全ての事象は陰・陽の二極に分類するという「陰陽思想」、この2つを組み合わせて十干となる。

十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種、存在し、甲(きのえ)は「木の兄(陽)」、乙(きのと)は「木の弟(陰)」を意味すると言ったように、五行(木火土金水)全てが「兄(陽)」と「弟(陰)」に分類されている。つまり2017年の丁(ひのと)は、「火の弟(陰)」を意味する年になる。

また十干は、この並び順にも意味があり、自然の摂理、生命の連鎖を表現している。「干」という文字の起源は、先が二股に分かれた武器を表す象形文字で、「侵す」「護る」という二極の相対する概念として使われていた。そこから、森羅万象の摂理と考えられていた「陰陽思想」へとつながり、十干とは摂理を10に分割したもの、甲(芽吹き)から始まり癸(枯死)で終わるという、生命の成長過程が割り当てられていると考えられたのである。

十二支は時間や方位の概念、シュメール文明が起源とも

十二支はと言うと、動物たちの並びの意味や起源については諸説あり、未だはっきりとはしていない。これに関しては、明治時代の粘菌学者であり、民俗学者でもある南方熊楠が「十二支考」の中で面白い記述を残している。

「明けまして子年となると、皆様一斉に鼠を連想する。子の年は鼠、丑の年は牛と、十二支に十二禽を割り当てる事、古く支那に起って、日本・朝鮮・安南等の隣国に及ぼし、インドやメキシコにも多少似寄った十二物を暦日に配当した事あれど、支那のように方位に配したと聞かぬ」※現文のまま引用

この記述によると、時間や方位の概念である十二支に、それぞれ12種類の動物を当てはめたのは古代中国であり、そこから日本にも伝わったとある。またインドや遠くはメキシコにも、暦に12の物をあてはめた風習が存在すると書いている。

このよう十二支に動物をあてはめるのは、時間や方位の概念を簡便化し、民衆の生活に取り入れ易くするために考え出されたものであったようだ。「俺は牛の年に生まれた。お前は?」とか「明日の虎の時間に、羊の方位へ狩に行くぞ」といった具合に、曖昧な概念に具体的なイメージを付加させる為に考案されたものだったのであろう。

しかしこの12という数字は、そもそも誰が決めたのだろうか?それはメソポタミア南部に興ったシュメール文明が発祥だと言われている。

天文学の基礎知識と言われているものの多くが、シュメール文明の頃には既に発見されていたとする研究者は多い。古代シュメール人は、季節が一巡する期間中に、月の新月と満月が12回ずつ観測されることを知っていた。

また月の満ち欠けは29.53日で一巡することも知っていた。もっと言えば、それを農耕スケジュール管理に利用した場合、微妙に季節がズレることも知っていた。太陰暦の場合、月の満ち欠け29.53日×12ヶ月で354.36日。地球の公転周期は365.2422日なので、1年で10.8822日季節のズレが生まれる。そこで3年に一度、このズレを修正する目的で、閏月を入れて1年を13ヶ月にしたのである。

このように干支とは、生命の成長サイクルをあらわす十干と、時間や方位の概念である十二支を組み合わせたものである。10と12を順番に組み合わせていくと、6巡目で元に戻る。12年×5=60年で一周まわって最初に戻るので、干支は全部で60種類。60年で一周まわって最初に戻るという「還暦」の祝いもここからきている。

古代シュメールの人たちは、月の満ち欠けの周期が29.53日だったことを知っていた古代シュメールの人たちは、月の満ち欠けの周期が29.53日だったことを知っていた

来年の干支である「丁」は成長、「酉」は利を得る

さてここまで干支の概念について考察してきたが、では2017年の干支である「丁酉」は何を意味しているのか?まず、十干の「丁」は、生命のサイクルの4番目、すくすくと伸びる茎がシッカリしだした状態を指している。

そして十二支の「酉」は、季節なら秋で、時間なら夕方(17時から19時)、方位なら西、五行思想では金に属する。これは酉の文字の成り立ちを探ると、わかりやすい。

酉は西と言う字によく似ている。そしてこの西と言う字は、甲骨文字の水汲み用の器から来ているとする説がある。これは1日の終わり、西に太陽が沈む頃に水汲みに行ってご飯を作るという習慣から、西の方角を指すようになったと言われている。

また酉という字自体、象形文字で首の長い酒器を表している。ついでに言えば酒という文字は、「酉」の中に入っている液体だから酒である。この2つのことから、古代中国において、「酉」は収穫した実から酒を作り、利を得ることという解釈が生まれたのである。

つまり2017年は、「丁」は成長期の安定、「酉」は収穫期で利を得ると言うことになり、すくすくと成長して収穫を迎える嬉しい年になりそうだが、そう単純な解釈ができないのが、干支の怖いところでもある。

江戸時代まで、日本の1日は12刻で、十二支の動物たちは、時間や方位を表す目印だった江戸時代まで、日本の1日は12刻で、十二支の動物たちは、時間や方位を表す目印だった

干支の持つ意味を知り、足元を見直すキッカケに

五行思想では、組み合わせにより「相生」「比和」「相剋」「相侮」「相乗」など、お互いを強めあったり、弱めてしまったりする関係性が存在する。丁と酉の組み合わせは「相剋」にあたり、これは片方が片方を弱めるという関係にある。

相剋は「火剋金」という具合に書きあらわし、ジャンケンや3すくみのようにグルッと強弱の関係が一巡している。相剋の組み合わせを下記に簡単にご紹介しよう。

①木剋土(もっこくど):木は養分を吸って土地を痩せさせる。
②土剋水(どこくすい):土は水を濁す。
③水剋火(すいこくか):水は火を消す。
④火剋金(かこくごん):火は金属を熔かす。
⑤金剋木(ごんこくもく):金属の斧や鋸は木を切り倒す。

2017年の干支である丁酉は「火剋金」にあたり、収穫期の利益を、新たに芽吹いて安定成長期に入った新しい事業が阻害するという意味になる。結果の見えた確定利益と将来の期待値のある新展開のどちらを選ぶのか迷う一年になる、というわけだ。

干支が持つ意味が指し示していることを考えると、もしかしてあれもこれもと色々と考えさせられることが多い。当たるも八卦、当たらぬも八卦とよく人は言うが、八卦の確率は8×8の1/64だが、干支は1/60なので、少しは確率が上ということになるだろうか。古くから長く伝えられてきた干支の持つ意味を知ることで、心落ちつけて足元を見直すキッカケになれば幸いである。

2016年 12月28日 11時05分