秋の風物詩、でも困りものの落葉

掃除しても掃除してもたまる落葉。しかし放っておけば勝手に腐葉土になるというものではない掃除しても掃除してもたまる落葉。しかし放っておけば勝手に腐葉土になるというものではない

庭に樹木を植えているご家庭はもちろん、近所に樹木の多い庭があったり街路樹があったりすれば、落葉が舞い込んできて、始末が大変だろう。
針葉樹ならそれほどの量ではないが、桜や梅、海棠など、花が日本人に好まれる庭木は落葉樹も多いから、観賞用の樹木を植えたいなら、どうしても落葉に悩まされてしまうことになる。
枝を剪定してしまえばいいが、成長がストップする秋に枝を切ると樹木に大きな負担をかけてしまうため、本格的な剪定は落葉の落ちた後の冬に行われるのが一般的だ。これでは落葉を止めることはできない。

しかし、掃除をしても掃除をしても、落葉は毎日降ってくるからキリがない。いっそのこと掃除をするのをやめてしまおうと考える方もいるだろう。落葉が降り積もる庭も情緒があるが、それで問題はないのだろうか。

落葉を掃除しないとどうなる?

落葉が発酵すれば栄養たっぷりの腐葉土になるため、農家では落葉を田畑に漉き込んで、土壌の栄養を補うこともある。江戸時代ごろまで、秋に山へ入ればマツタケが見つかったものだというが、それは落葉を綺麗に掃き集めて田畑に運んだり、落ちた枝を集めて薪にしたりしたからだ。マツタケはアカマツの根元に生えるが、競争力が弱いため、他のキノコが生えないような、痩せて乾いた土地にしか育たない。しかし化学肥料が利用されるようになり、誰も落葉を集めないようになると、松の葉やマツボックリが積もって地面が乾燥しにくくなり、腐葉土となって養分たっぷりの土壌にしてしまった。こうして多くのキノコが育つようになった結果、マツタケは育たなくなり、貴重品になったのだ。

このように、落葉は腐葉土になるが、さまざまな菌が生息する山と違い、庭で落葉を放っておいても簡単には発酵しない。発酵菌が落葉を分解するには適度な水分が必要だし、濡れすぎれば腐敗してしまう。また、温度が低すぎても発酵が進まないなど、環境を整える必要があるのだ。山や森などの環境でも、自然のままでは数年以上かかるという。細菌類の生息数が少ない街中の庭ではそれ以上の時間がかかるから、毎年落ちてくる新しい落葉のせいで庭の土がいつまでも見えない状況となってしまうだろう。

また、積もった落葉の下は温かいため、害虫の越冬場所になる可能性がある。それだけならまだしも、蛇やムカデ、あるいはシロアリといった害虫を呼び寄せてしまっては一大事だ。また、丈の低い草木を植えた場合、落葉に埋もれて日照不足に陥らせてしまうかもしれない。
さらに落葉が風に飛ばされ、近所の庭を汚せばトラブルにも発展する。ご近所とはなるべく良好な関係を築きたいものだから、やはり落葉掃除をする方がよさそうだ。
では、どうすれば落葉掃除の負担が軽減されるだろうか?

落葉掃除の方法

ブロワーバキュームがあれば、落葉掃除が格段に効率アップするブロワーバキュームがあれば、落葉掃除が格段に効率アップする

庭が土や石畳なら箒でも十分対応可能だ。棕櫚(しゅろ)のような細かい繊維でできた箒では、土まで集めてしまうので、竹箒を使った方が良いだろう。落葉が乾いている場合はある程度集めてから、ちりとりに取ってビニール袋に集めると良いが、濡れているときは注意が必要だ。濡れ落ち葉は周囲にくっつきやすいため、せっかく地面からはがしても、そのままにしておくとまた別の場所にくっついてしまう。こまめにちりとりで取って集めよう。

しかし、砂利を敷き詰めてあったり、凹凸が多かったりすると、箒だけでは掃除しきれない。ガーデニング用品を扱うお店にいけば、ブロワーバキュームと呼ばれる工具が売られているので、導入を考えてみてはいかがだろう。ブロワー機能で落葉を吹き飛ばし、舞い上がった落葉をバキューム機能で吸い取るもので、重い砂利は吹き飛ばないし、細かいところに入り込んだ落葉も舞い上がらせてくれるから、掃除は一気に楽になるだろう。ただし、庭全体をカバーするためには、コードの長さが十分ではない場合もある。庭の広さを測り、足りない場合は延長コードも一緒に購入すると良いだろう。また、空気を吐き出したり吸い込んだりする機械だから、ビニール袋をセットすることはできない。空気が循環できるよう、布製の袋に落葉を集めるので、袋からビニール袋へ移す手間がかかるが、それぐらいは我慢しよう。
性能により価格はさまざまだが、個人宅の庭掃除に使う程度のものなら、1万円程度からあるようだ。

落葉の再利用

集めた落葉はゴミに出すこともできるが、自治体によっては、庭木の手入れで出たゴミは有料になることもある。それならば再利用した方がよいだろう。
落葉の再利用を研究する機関もあり、例えば松林で集めた松の落葉なら、粉末にして入浴剤にもできるようだ。しかし、庭の落ち葉はさまざまな種類が混じっており、松の葉だけを選び出すのも一苦労だろう。昔の家庭では、庭でたき火をし、焼き芋を焼いたりしたものだが、火の扱いには注意が必要だし、灰や煙がご近所の迷惑になる可能性もある。やはり、腐葉土にするのがもっとも現実的だろう。

落葉を腐葉土にするには、適度な水と発酵菌が必要だが、水分が多すぎると腐敗菌が増え、葉っぱを腐らせてしまう。「腐葉土」は葉っぱが腐ったものではなく、発酵したものだから、余分な水分は取り除かねばならない。葉っぱが濡れている場合は天日で乾かしてから、ポリバケツなどに入れて発酵させよう。発酵菌は自然界にもたくさんいるが、好む環境を作らないと集まってこない。そこで、窒素肥料などを少し混ぜると効率がアップするだろう。さらに一週間に一度、よくかき混ぜて内側や底まで酸素を供給すると、菌がよく活動して発酵が早くなり、うまくすれば春ごろには腐葉土として再利用できる。

秋になればいやでも降ってくる落葉。掃除しないわけにはいかないものなら、ただ捨てるよりも腐葉土として再利用してみてはいかがだろうか。

2015年 10月02日 11時19分