蚊と蠅サイズの虫を防ぐために作られた網戸ネット

暑い夏はエアコンが恋しいが、エコロジーと省エネの意識が進み、窓を開けて扇風機でしのぐ家庭も増えてきた。実際、夜間は窓から入ってくる夜気だけでも涼をとれ、快適な睡眠を得られることも多い。
しかし、窓を開け放すと虫の侵入が心配だ。木造で、隙間の多い家屋が多かった日本では、蚊帳が利用されてきた。家の中に網のシェルターを作り、虫から身を守るのだ。ただ蚊帳は出入りにちょっとしたコツが必要で、夜になるたび吊り下げてセットしなければならず、手間がかかる。そんな背景もあり、昭和ごろから普及しだしたのが網戸だ。

網戸により、蚊や蠅に侵入される心配なく、快適に風を取り入れられるようになったが、網戸はあくまでも蚊や蠅サイズの虫を締め出すためのものだ。大掃除の際、蛍光灯の上などに小さな羽虫がびっしりとついていて、げっそりした経験はないだろうか。蚊より小さな虫は、一般的な網戸はすり抜けてしまうのだ。小さな羽虫を防ぐ方法はないのだろうか?
網戸ネットメーカーとしてさまざまな商品を開発している、ダイオ化成株式会社の広報担当・垣内宗一氏に、最新の網戸事情についてお話しをうかがってみた。

細かい目と丈夫さの追求で、虫の侵入を避ける

メッシュの比較メッシュの比較

さっそく、小さな羽虫を締め出せる網戸ネットがあるか聞いてみた。
「ありますよ。たとえば蚊の一種で刺されるととても痒いとされるヌカカは体長が1ミリほどですが、当社商品には30メッシュ、つまり網目の大きさが0.67ミリの網戸ネットがあり、ヌカカをはじめ、ほとんどの虫を防いでくれます」(垣内氏)

一般的な網戸ネットは18メッシュで、網目の大きさが1.15ミリだというから、網目の大きさは半分近い。網目を細かくすれば、風通しが悪くなるのではと心配になるが、糸の強度を保ちながら、細く紡ぐ技術を開発するなど、総合的な技術力でカバーしているという。
網戸ネットの強度には基準があり、水平に置いた状態で定められた重さの錘を真ん中に乗せ、破れないかどうかの実験がされているため、日常生活の中で、ネットが破れる心配はないのだそうだ。

しかし、ネットが細かくても、出入りの時に虫が入る恐れがある。対策はないかと垣内氏に聞いたところ、
「薬剤入りの網戸ネットをご使用になってはいかがでしょう。虫のいやがる薬剤が糸の中に練り込んであり、徐々に外に出てくる仕組みです。揮発はせず、網戸の周囲に虫を近寄らせないわけではありませんが、虫が網戸に触れると効果を発揮しますから、網戸に虫がとまりにくくなります」
と教えてくれた。

夜の虫は光に集まる性質のあるものが多く、網戸にびっしりと虫が張り付いて、ギョッとした経験のある方も少なくないのではなかろうか。そこまでの量でなくても、網戸に虫が留まっている状態だと、開閉の際に虫が飛びあがって室内に入ってしまいがちだから、このネットは有効だろう。
揮発しないので、空気中に溶け込んだ薬剤を吸ってしまう心配がないのもうれしい。また、薬剤は虫が忌避するだけで、殺す成分ではないので、朝、戸外に虫の屍骸がびっしり落ちていて、掃除が大変になることもない。
ただ、薬剤の効果は約3年なので、定期的な張り替えを忘れないようにしたい。

さらに、もっと虫よけの効果をあげるには、網戸とガラス障子、あるいは網戸と網戸の隙間に、隙間テープや虫とめゴムを取り付けると良いそうだ。

網戸を気にせず外の景色を楽しみたい人には

右側が黒い網戸ネット。網戸のない左側ほどではないが、中のカーテンがクリアに見えるのがわかる右側が黒い網戸ネット。網戸のない左側ほどではないが、中のカーテンがクリアに見えるのがわかる

マイホームを建てる際、庭にこだわる人も多いだろう。しかし、網戸越しに眺める庭の景色は、想像以上に見づらいものだ。かといって窓を閉めると風が通らず暑苦しい。外を見やすい網戸はないものだろうか。
「外をクリアに見たい方のために、黒っぽいネットが販売されています。レースのカーテンを想像していただければ理解しやすいと思うのですが、白は光を反射するので、糸自体が光ってしまい、外が見えにくくなるのです。その点、黒は光を吸収します。光を反射しないのは見えないのと同義ですから、外の景色がはっきり見えるようになるのです」
と、垣内氏。

中から外がよく見えるのはいいが、外から家の中がはっきり見えてしまうのは問題だ。そこで、外側は銀色で、内側が黒のネットも販売されているとか。銀色は白よりも積極的に光を反射するため、明るい日中であれば通常のグレイのネットよりもさらに室内を見えづらくするのだそうだ。

ペットのいるご家庭にお薦めの網戸ネットとは

猫の爪とぎで網戸はすぐボロボロになる猫の爪とぎで網戸はすぐボロボロになる

ダイオ化成株式会社の商品でもっとも好評なのは、虫除け効果を高めたネットと見通しの良いネット、そして丈夫なネットだそうだ。通常のネットでも日常生活で破れる心配はないというお話だったが、なぜさらに丈夫さが求められるのか垣内氏に聞いてみよう。
「ペットのいるご家庭に好評です。猫を飼っているご家庭では、爪とぎは頭痛の種になります。若い猫は遊びで網戸を登ったりもしますし、外にいる犬が中に入りたくてひっかいたりもしますから、網戸はすぐにボロボロになってしまうのです。金網の網戸は切り口が危険で、個人で張り替えるのは難しいのですが、このネットならDIYで張り替え可能です」

引っ掻いても爪が抜ける心配はなく、ペットにも人間にも優しいネットなのだそうだ。

さらに進化する網戸

網戸ネットは身近な存在だから、今後もさまざまなカタチで進化していくだろう。どのような方向性が考えられるだろうか。
「網戸の基本的なニーズは虫を入れずに風通しを確保することですから、今後は網目の正確さが高められていくと思います。また虫除け効果の面でも、ネットに練り込む薬剤の効能を長持ちさせるようにするなどで進化するかもしれません」(垣内氏)
一部の消費者からは、カラフルな網戸ネットが欲しい、絵の描かれたネットが欲しいといったニーズもあるそうだが、実際に販売してみても、売り上げは伸びなかったとか。やはり網戸は機能第一なのだろう。

昨年はデング熱の流行などもあり、感染症の媒介となる虫はやはり避けながら快適さを得たいものだ。網戸を張り替える際は、様々な機能のある網戸ネットから、家庭のニーズに合ったものを確認してみてはいかがだろう。

2015年 08月02日 09時36分