災害大国日本

日本は地震大国のうえに、海に囲まれた島国。さらに台風の通り道でもある。日本国政府の地震調査研究によれば、南関東でマグニチュード7クラスの地震が30年以内に起きる確率は、実に70%。東南海地震も同様だとされている。震災が起きれば、家屋が倒壊するだけではない。東日本大震災のような、巨大津波が襲ってくる可能性もある。さらに近年、局地的な集中豪雨が問題となっており、土砂災害や、浸水被害などが各地で報告されるようになった。
心配は天災だけではない。震災後の原発事故は、大気や土壌を汚染し、そこに住む人々を脅かしている。そして、他国が日本海へ向けミサイルを発射したとの報道が、一度や二度ではないことを考えれば、将来的には海ではなく、本土にミサイルが着弾する可能性も無視はできないのだ。
そんな中、私たちにできることは限られている。震災に対しては、家を免震構造に建て替える、それが無理ならば家具を固定するなどの対策があるが、巨大津波や集中豪雨に対しては、避難場所の確認が精いっぱいだろう。ましてや外国からのミサイル攻撃に、どのように対策をすれば良いのだろうか。
その一つの答えは、「家庭にシェルターを持ち込む」ことだろう。
しかしシェルターは、どこまで災害から人間を守ってくれるのだろうか。また、設置の条件や、価格などを知っておきたいものだ。
今回、家庭用シェルターを扱う株式会社シェルターの西本誠一郎社長にお話しを伺ってみた。

シェルターの種類

地上設置型シェルター。放射性物質、細菌兵器、毒ガスを99.997%濾過可能地上設置型シェルター。放射性物質、細菌兵器、毒ガスを99.997%濾過可能

まず、家庭用シェルターにはどのような種類があるのだろうか。
「株式会社シェルターで扱っている家庭用シェルターには、地上設置型の放射能物質家庭用核シェルター、放射能物質地下核シェルター、津波・地震シェルターがあります」
と、西本社長。
地上設置型のシェルターは、簡単に言えば空気濾過装置である。国土の狭い日本では、現実的な装置とも言えるかもしれない。しかし、「濾過装置だけでは核攻撃から身を守れないのではないか」と心配になるだろう。ところがそういうわけではないという。
「核兵器による爆風の影響を受けるのは、爆心地からおよそ5km程度だと言われていて、むしろ恐ろしいのは、放射能被曝被害です。地上設置型のシェルターは、それを防ぐことに特化されたもので、放射性物質だけではなく、細菌兵器や毒ガスも99.997%濾過可能。他国から攻撃を受けた場合、爆心地にあたりさえしなければ、生き延びられる確率がグンと高くなると考えられます。実際、スイスやイスラエルではすべての家庭に設置されているのです」

津波・地震シェルターは、12.5tの圧力に耐える強度を持ち、ボール形をしている。地震の際に逃げ込めば、二階が落ちてきても衝撃を受けず、津波が起ったときには、水に浮く。水や食料収納室もあるので、波が引いてしまうまでこの中に避難していれば、安全なわけだ。
万全を期したい人には、放射能物質地下核シェルターが有効だ。「核シェルター」というネーミングを耳にした際、私たちが思い浮かべるのはこのタイプだろう。次章では、この地下核シェルターについて、詳しく見ていこう。

地下核シェルターとは

放射能物質地下核シェルターは、地下に強固な建物を設置し、空気濾過装置を設け、地上との境目に耐爆風ドアを置くもの。これにより、核兵器だけでなく、地震や毒ガス攻撃などからも身を守ることができる。シェルターの内部にはトイレやベッドもあり、生活も可能だ。

一言で地下核シェルターと言っても、さまざまな設備がある。一般的にあった方が良いと思われる機能を、西本社長に伺った。
「死の灰や細菌、神経ガスを除去するNCBフィルター。そして、シェルター内部の圧力を常に大気圧よりも高めに維持するための差圧計。送風機で内部圧力を大気圧より0.5~1.5mb高めに維持しながら、室内の汚れた空気を外部に排出する調圧バルブ。シェルター内部より排出される空気を一旦溜める空間で、2枚の耐爆ドアを持ち、汚染外気が内部に侵入するのを防ぐエアーロック室。エアーロック室から外部に空気を排出し、爆風、火気熱風などにより外圧が急激に増加した場合は、瞬間的に閉鎖して外気を遮断する耐爆風バルブ。鋼鉄製又はコンクリート製の耐爆風ドア。なんらかの原因で耐爆ドアが使用不能になった場合脱出するためのエスケープドア。これら7つの設備はあった方が良いでしょう」
ちなみに、内部圧力を大気圧より高めに維持するのは、汚染された外気が室内に入らないようにするためだ。

最低限これだけそろっていれば、外界の危険が去るまで安全に暮らすことができるという最低限これだけそろっていれば、外界の危険が去るまで安全に暮らすことができるという

地下核シェルターのある暮らし

核シェルターの輸入を手掛ける株式会社シェルターの西本社長(左)と、販売代理店のシェルタープランニングを経営する新井氏核シェルターの輸入を手掛ける株式会社シェルターの西本社長(左)と、販売代理店のシェルタープランニングを経営する新井氏

当然、地下核シェルターの設置には費用がかかる。土地の硬さなどによっても価格は変わってくるが、1000万円程度の出費は覚悟しなければならない。
しかし、頑丈な扉で閉ざされた空間は、平時は貴重品保管室や防災用品倉庫、備蓄食糧庫、防音室、カラオケ・テレビゲームなどのレジャー室としても利用できるから、音楽演奏を趣味とする人なら、防音室の延長線として考えられる。何より、もしもの場合の安心を購入すると考えれば、安いものかもしれない。

株式会社シェルターの西本社長が核シェルターの輸入を始めたのは、25歳のときだったという。
10人兄弟の大家族で、幼い時に父が亡くなった後は、苦しい生活を送ってきたという西本社長。中学卒業を期に移住した大阪で出会ったのが、C.M.ブリストルの『信念の魔術』。この本をきっかけにキリスト教の門をたたくことになる。その後、21歳のとき、懇意の牧師に通訳を頼んでスイスやドイツへ行き、シェルターの会社を見学する。スイスでは、戦争勃発を念頭に置いた対策が進んでいたという。シェルターの設置も進んでおり、その様子を見た西本社長は、さっそく輸入へ向け活動を開始したのだ。当時の日本は核シェルターへの理解度が低く、事業が順調だったとは言えない。しかし、信仰と信念、そして使命感から、翻意することなく時が過ぎ、販売代理店となるシェルタープランニングの新井宣房氏との出会いもあった。

そして今やっと、シェルターに注目が集まり始めている。
「50年前に比べると、地上設置型シェルターの値段はずいぶん安価になりました。取り外しも可能で、建て直したとしても再利用できます。戦争や災害はいつ起こるかわかりませんから、愛する家族のためにできる事を考えてください」
 
災害が起らないのが一番。しかし、備えあれば憂いなし。一つの選択肢として核シェルターを考えてみてはいかがだろう。

■参考リンク
シェルタープランニング
http://www.shelter-plannning.com/

2014年 09月09日 11時25分