マンションのバルコニーをどういう風に使用しているか?

バルコニーを生活空間として活用しようバルコニーを生活空間として活用しよう

最近のマンションは、共用部に様々な工夫が凝らされ、それがマンション選びの際のひとつのポイントになっている。コンシェルジュが置かれたり、SPAやラウンジやバー、ゲストルームも完備しているところがある。専有部以外のコミュニティスペースが進化し、それが他物件との差別化つまり“マンションの魅力”になっている。

そうした中で今、「バルコニー」に注目が集まっているようだ。しかし、「バルコニー」と聞くと、マンションの共用部と専有部どちらだと思うだろうか?

その部屋の人が使うので専有部と思いがちだが、実は共用部。そう聞くとバルコニーは到底いじれない感があるかもしれないが、共用部でありかつ専用使用権があるため、その所有者が使用できる。結局、バルコニーは使用できるわけだが、専有部と何が違うかというと簡単に言えば、“共用部としてマンションの大規模修繕の際には点検・修理対象になる”ということだ。

そのため、避難経路の確保や外側から見た時の外観変更禁止、そして何より大規模修繕の際にはきちんと元の状態にしておくということを順守することが大事だが、そうしたことを守ればカスタマイズも可能ということだ。しかし、ホームセンターで資材を買って自分でやるにしても、プランナーに頼むにしても、相場や労力がぱっと浮かばないのがネックかと思う。

そうした長年のマンション住民の悩みを解消してきた東邦レオに今回「バルコニーを活用した暮らし方」について取材してみた。

マンション管理規約に違反しないのか?

(左)大塚駅近くにある東邦レオの屋上に設置された実際の「First Living」。一般の方も見学できる。要予約</br>
(右上)女性一人でも持てるソファ</br>
(右下)家具とタイルは付属のベルトにより固定できる
(左)大塚駅近くにある東邦レオの屋上に設置された実際の「First Living」。一般の方も見学できる。要予約
(右上)女性一人でも持てるソファ
(右下)家具とタイルは付属のベルトにより固定できる

東邦レオではバルコニーや屋上といった空間をユーザーに提案するために、まず自分達がその空間を楽しむことから始めるという。自社ビルの屋上に戸建ての屋上やマンションのバルコニーを想定したリラックス空間が創られており、今回見学させていただいた。

バルコニーは、本来もっと“活用されてもいい場所”だという。

「従来の使い方でいうと、洗濯物の干場やガーデニング、物を置く場所として使われてきたと思います。しかし、買った当初は見晴しがいいから購入したはずなのに、段々とバルコニー自体が生活臭あふれる場所になり、ついにはカーテンで閉めたくなるようなそんな使われ方をしているスペースでした。しかし、バルコニーをうまく活用できれば、部屋が広がった雰囲気になり、生活臭ではなくきちんとした生活空間が広がります。長年、屋外空間プランに携わる中で、お客様の色々なお声もいただいて、今回バルコニー専用商品を開発しました」(東邦レオ First Living事業 マネージャー 堀川範幸氏)

見せて頂いた「First Living(ファーストリビング)」の商品の名前の由来は、“バルコニーが一番のお気に入りのリビングになれるように”という願いから。その名の通り、屋上で見せていただくとまるでリゾートのような空間に変身していた。

都内のバルコニーはだいたい1.8~2mの幅。約12m2くらいの広さだが、同じような広さの場所に今回はソファとテーブル、フェンス、床パネルなどが設置してあった。東邦レオが今までビルや戸建て住宅の屋上開発などで培ったノウハウをもとに作られたもので、管理規約をクリアし安全性にも最大限配慮した、にくい演出がいくつも施されてあった。

まずマンションというと、低層から高層まで様々だが、もちろん高層だと風が強くなるため、家具が飛んで行ってしまわないか心配になる。タイルのジョイント部分にリングがあり、そこに家具のベルトを固定することで飛ぶのを防ぐことができる。

また、ぱっと見たとき重厚感があり、持ち運びしにくいイメージをもった。バルコニーを活用するとはいえ、やはり洗濯物も干したい。そんな時、ソファが邪魔になり持ち運びしたいが重いかも…と思いきや、東邦レオ株式会社 広報室 室長 熊原淳氏にすすめられるまま、ソファを持ってみると意外に軽い。

お子さんがいる家庭で特によく聞かれるという、“お子さんの足がかり”についてだがソファのワイヤーを使って固定ができるため、ベランダから75センチ以内にチェアは持ってこれない仕様にできている。75センチ離れていると、幼児~小学3、4年生までの子供は手すりに手が届かない幅だという。(※東邦レオの実地試験から)

床パネルにしてもジョイント式なのでバルコニー自体にアンカーで打ち付ける、接着剤でつけるなど傷つけることはしない。大規模修繕の際にもすぐに現状回復することが可能だ。

バルコニーのコーディネートは髙いイメージがあるが?

お話しいただく(左)広報部 室長 熊原氏、(右)First Living 事業マネージャー 堀川氏お話しいただく(左)広報部 室長 熊原氏、(右)First Living 事業マネージャー 堀川氏

東邦レオでは昨年から「First Living」としてセット資材と設置費込みなどでパッケージ化しているが、当初高いのでは?という印象をもった。

マンション用の「Relax Sofa PLAN(リラックスソファプラン)」という屋上で見せていただいたソファ2セットとフェンスなどのセットが~10m2バージョンでは税別280,000円だという。リフォームという大規模のものでもなく、ちょっと頑張れば手が届く範囲だ。

「今までバルコニーのカスマイズをしようにも、まずプランナーが入り、タイルはタイル会社に、家具は家具メーカー、植物は造園会社にと、それぞれ違うものをかき集めて作っていたためコストがかさみました。もちろん別々だったため、タイルと家具をベルトで固定する仕組みなども設けることができず、懸念事項も払拭することができませんでした。好みなど色々とあると思うのですが、まずはパッケージ化することで、バルコニーのイメージができるようになったと思います」(熊原氏談)

バルコニーをこうしたリビングのようにする構想は約10年前からあった。2003年前後から戸建て住宅の屋上設計をやり始めたが、コストの部分で実際施工できるケースは少なかったという。マンションのバルコニーについて問い合わせがあっても当時は10m2でトータル100万円前後してしまい、話が流れてしまうことが多かった。そのため、一時期はお断りする方針にもなっていたという。
しかし、2011年に戸建て住宅の屋上事業がスタート。ノウハウが積み重なり商品部材も大量発注することでコストを抑え、マンションバルコニーのパッケージ化に成功したということだ。

バルコニーライフはイメージしにくい?

東邦レオには現在、個人の方とデベロッパーの方は半々で問い合わせがきているという。昨年6月リリース後に約400件の問い合わせがあり、竣工待ちマンションなども含めると、現在まで約100件受注を受けたという。購入層は新婚さんが多いのかなと聞くと、20~30代中盤のお子さんのいる家族と定年を迎えた夫婦が多いらしい。

実際どういうバルコニーライフを送っているのだろうか。実は熊原氏は「First Living」を自宅に導入して、バルコニーライフを楽しむバルコニストのお一人。実は導入時に、奥さんに反対されたという。

「『使わない』という理由で当初反対されましたね。でも、今は私より使用しています。家は真西向きなのですが、音楽を聴きながら夕日を見るのがとても気持ちいいようです」

どちらかというと、女性の方がバルコニーライフをイメージしにくいようだ。確かに、バルコニーというと洗濯物を干す場所なので、邪魔という先行イメージがあるのかもしれない。でも実際活用するのは女性の方が多いという。

(上)First Livingを施工する前</br>
(下)First Livingを施工した後(上)First Livingを施工する前
(下)First Livingを施工した後

スペインの“バル”のようなバルコニーライフ

最後に今後どんなバルコニーライフができたらいいか、堀川氏に聞いてみた。

「バーベキューができたらいいですね。ドイツに暮らす、以前一緒に働いていたメンバーが言っていたのですが、ドイツではバルコニーをとても活用するようです。バーベキューもOKでお隣さんがやっていてもお互い様という風土文化が根付いており、日本でもそうして提供ができないかと思っています。ただ、今の日本では火、煙、ニオイ、音と様々なものをクリアしなければなりません。しかしそこをクリアできるよう私たちメーカーが技術的なもので解決していきたいですね。そして規約が変わって、そこで風土文化がじょじょに変わっていって…、将来的にバーベキューができたらいいですね」

バーベキューが身近にできれば、暮らしも今よりもっと豊かなものになるだろう。ちなみにその代りで何か楽しめないだろうか?

「火、煙、ニオイ、音が出ないもので、バルコニーで楽しめる食事を検証したところ、しゃぶしゃぶはピッタリでした。“バルしゃぶ”を楽しみつつ、ビールが最高ですね」(熊原氏)

これからの季節、そしてマンション業界においてもバルコニーシーズンが到来しそうな予感だ。今後もバルコニーに目が離せない。

バルコニーシーズンが来る予感!?バルコニーシーズンが来る予感!?

2014年 05月05日 09時41分