変わりゆく家族との関わり方と間取りの関係

案内いただいたリビングデザインセンターOZONE林陽子氏案内いただいたリビングデザインセンターOZONE林陽子氏

住まいにおける家族との距離感が重視される昨今。特に東日本大震災を境に、そうした家族とのコミュニケーションに対する意識が変わってきている。例えば、「リビング」の在り方はもともと家族が集まる場所だったが、それまでよりも家族とのコミュニケーションをとりあう場所として重視されるようになった。そのため、最近は「リビング」を生かす生活が重視されている。中でも一番活用されているのが、“子供の勉強する場所”としてだ。以前は子供部屋を設けるのが当然だったが、今では小学生では約7割、中学生でも4割、高校生でも3割超がリビングで勉強している傾向がみられる。(※東京ガス都市生活研究所 生活分野別定点調査2012年より)

こうした背景がある中で、現在、新宿にあるリビングデザインセンターOZONEでは、家族とのコミュニケーションと住まいの関係を考えた展示「ツナガルカタチ」が開催されている。

「家族をはぐくむこれからの住まい」というサブタイトルがつけられている。通常、家をつくる際には"建てる家族の状況"を軸に間取りや空間を考えてしまう事が多いが、実際は家族のライフステージごとに家の使用方法も変わってくる。将来にも目を向けて、家も家族と一緒に「はぐくめる」アイディアを、と提案した展示企画だ。

住まいにおける家族との関わり方、そしてどういう間取りが円滑なコミュニケーションを築けるのか?今回、「ツナガルカタチ」の展示担当をしている株式会社リビング・デザインセンター 住まいづくり事業部 カスタマーリレーション部 コミュニケーション提案グループ 林陽子氏に案内してもらい、お話しを色々と伺った。

家族をはぐくむ居住空間の「はぐくみポイント」

家族をはぐくむポイントとは?家族をはぐくむポイントとは?

今回の企画は、「家族とはぐくむこれらからの住まい」をテーマに「OZONE家design」の登録建築家である大川三枝子氏(オオカワ建築設計室)の設計案をかたちにしたもの。

会場は今回は「都心に暮らす共働きファミリー」を想定した居住空間になっている。見学させていただいた中で、家族とはぐくむ住まいづくりのポイントをお伝えする。

①ほどよい距離間の演出(写真①)
1階から2階の階段途中に踊り場を設けて、フリースペースとして利用することで家族の間にほどよい距離感が生まれる。リビングダイニングを見下ろせる場所にあるため、誰かとつながりが持てる場所だ。家族のライフステージごとに子供の勉強スペースに活用したり、子供が独立した後にはお父さんの読書スペースなどに使える。ほどよくプライバシーを保ちながら家族の気配を感じられるというのがポイントだ。いくらコミュニケーションを重視した空間が求められているといっても、適度な距離感が大切だ。

②スムーズな家事導線(写真②)
間取りと生活動線は密接に関わってくる。家事動線がスムーズなら、部屋も散らかりにくく作業も効率よく進むもの。今回の展示空間では玄関の近くに土間仕様のフリースペースを設けたのがポイントだ。その土間にある洗濯物の干し場とランドリースペース、クローゼットが直線でつながり、快適な作業動線を配慮した設計となっている。
また、この土間はアイロンをかけたり、パソコンをしたりと様々な作業スペースとしても利用できる。さらに、床暖房を入れて洗濯物を乾きやすくするという工夫も可能だ。心地よい空間になれば、単なる作業場だけでなく、お気に入りのスペースになるだろう。

③リビングの子供スペース(写真③)
子供が自由に遊べるコーナーを持たせてあげる事で、自分のスペースだということを理解し、整理整頓をするきっかけになる。子供用にかわいく演出すれば無駄な空間も生まれない。今回の展示では、テーブル横に子供のおもちゃ用の棚を設けて、子供に“お片付け”する習慣を促している。おもちゃや文具などのカラフルな色柄があふれても、可愛くディスプレイできるスペースを作ったのもポイントだ。

④タテ空間を生かした収納スペース(写真④)
階段下の空間を収納スペースとして利用する。散らかっている時の急なお客様にも一時的にものを入れて扉を閉めてしまえば、すっきりとした空間を演出できる想定だ。

最大の「ハグクミポイント」は「間取り変更」

10年後・15年後・20年後というように定期的な間取りを考える10年後・15年後・20年後というように定期的な間取りを考える

今回、一番大きなポイントはライフステージごとによる「間取り変更」の提案だ。子供の成長や独立など、家族のカタチや生活スタイルの変更によって住まいを変更をする事を前提につくられた間取りは、“変化”を楽しむ事ができる。

<間取り変更ポイント>
・部屋を増やす数の目安
・区切るラインに梁をいれる

今回の想定は、共働きの夫婦と3歳の子供とこれから生まれる子供、という家族構成。10年後、15年後、20年後どんな生活をイメージして間取りがつくられているか。イメージごとの住居についてお伝えする。

【現在】
子供がまだ小さいのでリビングを中心にキッチンで家事をしながら子供の様子をうかがえる、また、2Fは寝室で親子一緒に寝られる間取り。

【10年後】 
子供が少し大きくなったので、それぞれが勉強できるスペースを設けたり、子供と親の寝室を分けるのだが、親は子供部屋を通ってから寝室に入れる間取り。

【15年後】
子供が思春期に入り、それぞれの個室を作る。大きなクローゼットとして利用していた空間を親の寝室に変え、親の寝室を2つに分けて子供部屋を2つつくる。

【20年後】
子供たちが巣立った後は、趣味を楽しめる空間を作ったり、ゲストルームをつくり、二人のゆったりした空間をつくる。

将来をどう過ごすかを考えた家づくり

将来をどう過ごすかを考える事は、家をつくるときにとても重要なポイントとなる。

案内頂いた林氏は「昨今、家族とのコミュニケーションが大切にされている為、リビング、キッチンを中心に家族の心地いい距離感が生まれる住まいをさまざま形で紹介した」、また「これからは、家族の成長に対応できる住まいづくりを考えること、永く付き合える、信頼のおける依頼先との出会いが大切になるだろう」と、いう。


家を買う事はとても難しい話と思って敬遠しがちだ。でも私たちには「衣・食・住」は欠かせない。「衣・食」はとても身近に感じるが「住」となると難しいと敬遠しがちだ。でも、住まいは生活の基本になる。家が豊かであれば、心も豊かになる。

今回取材させていただいたリビングデザインセンターOZONEでは、建築家など、依頼先選びの相談ができるほか、新築、リフォーム、インテリアに関するコンサルティングメニューも豊富にあり、家づくりの疑問や不安を解消してくれる。また、資金計画や不動産探しなど、住まいづくりに役立つ様々なセミナーを開催している。自分にあったスタート地点から、じっくりと家づくりを考える機会になる。ゴールデンウィーク後半のお出かけにどうだろうか。

2014年 05月02日 14時12分