中古一戸建ての相談件数でもっとも多いのは雨漏り

株式会社ルーツコーポレーション代表取締役山藤光博さん。千葉県船橋市周辺を中心に中古住宅のほか新築住宅・アパートなどの販売・仲介を行っている株式会社ルーツコーポレーション代表取締役山藤光博さん。千葉県船橋市周辺を中心に中古住宅のほか新築住宅・アパートなどの販売・仲介を行っている

昨今空き家の増加が社会問題になると同時に、見直されはじめている中古住宅。なかでも一戸建ての中古住宅の場合は、築20年を過ぎるころからほとんど土地代だけで購入できる物件も出てくることから、リフォームを前提としたニーズが高まっているようだ。

とはいえ、価格が比較的安く手に入ったとしても、家としての機能を果たさないのでは困る。中古一戸建てでは、特に雨漏りに関する問題が多い。公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住宅相談統計年報2016」によると、中古住宅のトラブルに関する相談でもっとも多いのは雨漏りで26.5%だった。2位のひび割れは11.6%なので圧倒的に高い割合だ。

このようなことから雨漏りは、中古一戸建てを購入する際に優先順位の高い確認事項の一つといえる。そこで、千葉県船橋市において豊富な中古住宅の販売実績を持つ株式会社ルーツコーポレーションの山藤光博さんに中古一戸建てを購入する際の雨漏りに関する確認事項をお聞きした。

スレート屋根やコーキングの寿命の目安は10年

―中古一戸建ての購入前にチェックしておきたい雨漏りしがちな部位を教えてください。

「確認したい場所は複数ありますが、雨漏りしがちでなおかつ素人でも比較的わかりやすい部位は次の4つになります」

●屋根
「日本の一戸建てで使用されているほとんどの屋根材は、陶器などの瓦とセメントなどを材料としたスレートの2種類です。瓦は100年近くもつと言われていますが、実際には30年程度で下地が劣化するので、そのころメンテナンスをしなければなりません。しかし、私の経験上築30年以上経った物件は、解体して更地にしてから市場に出ることが多いようです。そのため、中古住宅の屋根で気をつけたいのは築30年以内のスレート屋根の物件です。スレート屋根の寿命の目安は10年前後です。築10年を過ぎた物件で、スレート屋根にカビや苔が目立っていたら寿命が近いと考えていいでしょう。購入するならば同時に塗装の塗り直しをおすすめします。
また、最近は中古住宅でも太陽光発電システムを屋根に載せた物件が増えてきました。残念ながらこのシステムの施工が雑な工事会社が少なからずあり、雨漏りの原因になっています。太陽光が載っている物件を買うなら、万一の雨漏りに備えて売主に施工会社と保証内容を聞いておいた方がいいでしょう」

●サッシまわり
「窓のサッシと外壁の隙間を埋めるコーキング(目地材)の寿命の目安は約10年です。このころからやせはじめて弾力性が無くなってきます。すると隙間ができて雨漏りの可能性が高まるのです。確認方法は、指でこすってみるとわかります。硬く感じたりすぐに消しゴムのかすのようなものが出てきたらコーキングの打ち直しのサインです。特に出窓のまわりは注意して見た方がいいと思います。出窓はほかの窓に比べて施工が複雑なので施工不良が生じがちですし、壁から出ているので外壁から下に伝わってくる雨の影響が大きいからです」

左上:苔が目立ちはじめた築12年のスレート屋根。右下:サッシまわりのコーキングは柔軟性が失われていたら打ち直しのサイン左上:苔が目立ちはじめた築12年のスレート屋根。右下:サッシまわりのコーキングは柔軟性が失われていたら打ち直しのサイン

大雨でバルコニーがプールのようになることも

画像の玄関ポーチ上はバルコニーのような形状をしているが、出入り口のないデッドスペースになっている。このような空間は普段目が届かないので排水口に落ち葉などが詰まり雨漏りの原因になりやすい(画像提供:ルーツコーポレーション)画像の玄関ポーチ上はバルコニーのような形状をしているが、出入り口のないデッドスペースになっている。このような空間は普段目が届かないので排水口に落ち葉などが詰まり雨漏りの原因になりやすい(画像提供:ルーツコーポレーション)

●バルコニーの排水口まわり
「多くの一戸建てのバルコニーの床は、FRPと呼ばれる繊維強化プラスチックを塗ることで防水性を確保しています。これが塗られているのは、床から上に大体15~20cmくらいまでです。ところが大雨が降ったときにバルコニーの排水口が葉っぱなどで詰まっていると、プールのように水がたまってFRPを塗った場所を越え、外壁内に入ってきます。『まさかそんなにたまるはずはない』と思うかもしれませんが、意外に多い事例です。最近の私が仲介で販売した物件では、玄関ポーチの屋根がバルコニーの形状をしているものの出入り口がないデッドスペースで雨漏りがありました。その物件は隣に公園があり、お客様は落ち葉が排水口に詰まるからとネットを被せていました。そこで大雨です。気づくと玄関の内壁に雨水が伝わり染みだらけになってしまいました。この例は新築で購入し、まだ築1年だったにもかかわらずです。排水口にネットを被せたことで余計に落ち葉が排水口まわりにたまってしまい、雨水が流れない原因になったようです。最近はデザインなどの理由から玄関ポーチの上をバルコニーのような形状の屋根する仕様が増えています。オーナーとしては普段ほとんど内側を見ないので排水口が詰まっていても気づきません。このような形状の中古物件を検討する際は、下の階の内壁に雨漏りの染みがないか確認が必要です」

●トップライト(天窓)まわり
「トップライトは屋根に直接開口部を設けるわけですから、当然雨漏りの可能性が高まります。私の経験では、これも仲介で販売した築1年の物件で雨漏りがありました。あるとき横殴りの豪雨が降り、翌日にオーナー様が見上げるとトップライトの窓枠まわりに雨漏りの染みができていたのです。すぐに施工会社に見てもらうと原因はコーキングの施工不良でした。トップライトに関する雨漏りの原因は、ほとんどが製品ではなく施工不良やコーキングの経年劣化です。10年も20年も放置していれば必ず雨漏りすると覚悟しておくべきでしょう。逆に言うと、築年数が経っても雨漏りしていないトップライトは、きちんとメンテナンスされていると判断できます」

瑕疵担保責任は免責になることも多い

―もし雨漏りする物件を買ってしまっても売主に瑕疵(かし)担保責任があるから安心ですね。

「そうとは言い切れません。瑕疵担保責任とは、雨漏りや建物の白アリ被害などの物件の瑕疵(欠陥とほぼ同義)に対する売主の責任です。売主が不動産会社だった場合は、通常引き渡しから2年間の瑕疵担保責任が付きます。もし、その間に雨漏りなどの瑕疵が見つかれば修繕代は負担してもらえます。しかし、売主が個人の場合、そのような長期の責任は問えないのが実状です。売主が個人だった場合の瑕疵担保責任は、一般的には2~3ケ月で、免責という例も少なくありません。特に物件の値引き交渉をすると『瑕疵担保責任を免責にするなら』となるケースが多いようです。また、特約で『雨漏りは免責とする』という例も少なくありません。これらの条件は、契約前に説明を受ける重要事項説明書または売買契約書に記載されています。必ず確認するようにしましょう。
とはいえ、瑕疵担保責任が付かないからだめ、というわけではありません。重要なのは購入価格とのバランスです。付かなくても『その価格ならなくてもいいか』と思えるのであればいいのではないでしょうか。どうしても不安ならば既存(中古)住宅売買瑕疵保険に加入するという方法もあります。これは1棟当たり10万円前後の保険料を支払って専門の保険会社が1~5年間の保険を引き受けるというものです。ただし、加入するには必ずインスペクション(住宅診断)を受けなくてはいけません。診断の結果、瑕疵が見つかれば修繕してからでないと加入できない仕組みです。専門家が瑕疵をある程度見つけて修繕してから入居できるという意味でも安心の制度といえます」

瑕疵担保責任の期間などの条件は、契約前に説明を受ける重要事項説明書または売買契約書に記載されているので必ず確認したい瑕疵担保責任の期間などの条件は、契約前に説明を受ける重要事項説明書または売買契約書に記載されているので必ず確認したい

失敗しない秘訣は定期メンテナンスを行っている物件を見つけること

―最後に購入後に雨漏りさせないための注意点などはありますか。

「マンションの場合は修繕積立金があるので自費で雨漏り対策をする必要はありません。しかし、一戸建ての場合は、必ず自費で定期的にメンテナンスしなければならないということを理解しておいてほしいと思います。築10年までは施工会社の10年間の瑕疵担保責任が継続しているので安心です。しかし、築10年を過ぎてなにもメンテナンスしていない物件ならば、近々に外壁と屋根の塗り直し、コーキングの打ち直しの3点セットが必要です。そのような物件の購入を検討する場合は、用意できるぎりぎりの予算で購入しようとは思わないことです。延床面積30坪台の物件の場合、購入価格以外に150万円くらい用意しておくべきでしょう。築20年前後ならトイレ、風呂、キッチンなどの設備交換も含めて400万円はほしいところです。また、なかには『とにかく今は安く買って2~3年後に解体して新築します』というお客様もいます。このようにしっかりと将来の計画を立てていれば、多少傷んだ物件を購入しても後悔は少ないはずです」

家というものは買ってしまえば半永久的に住めるものではない。特に一戸建ては自発的にメンテナンスしなければ、いずれ雨漏りなどの不具合が出る、ということが今回の取材でよく理解できた。出費というものはなにかと先延ばしにしたいものだが、そこをしっかり計画通りに行っている物件を見つけることが中古住宅購入成功の秘訣ではないだろうか。

取材協力:株式会社ルーツコーポレーション
http://www.roots-corp.com/

2017年 02月14日 11時04分