今後も住宅業界が安泰というわけではない

1612件-。これは帝国データバンクが集計した2015年の建設業の全国倒産件数だ。実は建設業の倒産件数は7年連続で減少傾向にある。その理由としては、東日本大震災の復興需要や日本銀行のゼロ金利政策になどによって金融機関が中小企業に対する融資を積極的に行っているということが考えられる。

とはいえ、今後も建設、なかでも住宅業界が安泰というわけではけっしてない。
直近でいえば、人件費や材料費の高騰で仕事はあっても財務状況は苦しいという企業は少なくないようだ。さらに中長期的にみれば、人口減による建築需要の減少や全国的に深刻な問題となっている空き家増加に対する取り組みなどで新築市場が縮小することが予測される。

倒産すれば支払った着工金が戻ってこないことも

注文住宅を建てる場合、工事の途中で住宅会社が倒産してしまったら途中まで支払った費用が戻らないこともあり得る注文住宅を建てる場合、工事の途中で住宅会社が倒産してしまったら途中まで支払った費用が戻らないこともあり得る

注文住宅を建てる場合、工事の途中で住宅会社が倒産したらどうなるのだろう、と心配する人は少なくないはずだ。

注文住宅は契約から引き渡しまで数ヵ月かかり、その支払いは着工時から竣工後までに3回程度に分けて行うことが多い。その間に住宅会社が倒産してしまったら、途中まで支払った費用が戻らないこともあり得るのだ。また、たとえ費用の問題が解決したとしても、工事が途中ならばそれを引き継ぐ会社を見つけなければならない。実際に過去には中堅ハウスメーカーが経営破たんし、着工済み物件が数百棟、さらに契約済み未着工物件が数百棟の工事が進まないまま残されたという事例もある。

では、財務状況が良好ならば安心なのか、といえば、そうとは限らない。小規模な住宅会社だった場合は、突然代表者が亡くなったり長期病気療養などで事業が続けられなくなることもあるだろう。

工事を引き継ぐ会社も紹介する住宅完成保証制度

このような住宅会社倒産などへの不安に応えるのが住宅完成保証制度だ。
これは住宅会社が倒産などで生じた施主の支払済み金額から工事済み部分の金額を差し引いた金額と、未工事部分を引き継ぐ会社の工事費のオーバー部分を保証会社が保証する制度である。(上限金額あり)

たとえば次のようなケースが考えられる。

・請負金額2,000万円の注文住宅をA工務店に発注して着工金を700万円支払った。
・A工務店が600万円分の工事を終えた時点で倒産。
・未工事部分を引き継いだB工務店の工事費は1,500万円だった。
(工事を途中で引き継ぐ場合は他社の足場を撤去してから再設置するなどで請負金額をオーバーすることがある)

この場合、施主の支払済み金額から工事済み部分の金額を差し引いた金額100万円と工事部分を引き継ぐ会社の工事費のオーバー部分100万円の合計200万円を保証する。つまり、施主の支払額は当初の契約どおりの2,000万円で済むというわけだ。また、この保証には施主の希望によって工事を引き継ぐ会社を紹介する業務も含まれる。
(契約内容によってオーバー部分のみ保証するケースもあり)

住宅完成保証制度を利用すれば、たとえ工事中に住宅会社が倒産しても、当初の契約どおりの支払額で完成させることができる。また、保証会社は施主の希望によって工事を引き継ぐ会社を紹介する業務も行う住宅完成保証制度を利用すれば、たとえ工事中に住宅会社が倒産しても、当初の契約どおりの支払額で完成させることができる。また、保証会社は施主の希望によって工事を引き継ぐ会社を紹介する業務も行う

登録できるのは厳しい審査基準をクリアした事業者のみ

保証契約の流れ。住宅会社は事前に保証会社へ登録を済ませておかなければならない保証契約の流れ。住宅会社は事前に保証会社へ登録を済ませておかなければならない

保証契約の流れは次のようになる。

1.住宅会社が事前に保証会社へ登録を申請。

2.施主が登録済みの住宅会社へ発注。

3.住宅会社が保証会社へ保証委託の申請。

4.施主と保証会社の間で保証契約が成立。

住宅会社は事前に保証会社へ登録を済ませておかなければならない。登録申請が受理されるのは経営状態などの厳しい審査基準をクリアした事業者のみ。つまり比較的信頼性の高い会社と判断できる。

このように住宅完成保証制度は、注文住宅を建てるならぜひ検討したい制度だ。ただし、どこの保証会社と契約しても同じというわけではないので注意が必要だ。保証会社は国土交通大臣に指定された法人で全国に数社しかないが、保証内容や保証料は会社によって多少異なる。また、気に入った住宅会社が、自分の希望する保証会社に登録しているとは限らない。どこの保証会社にも登録していないことも十分あり得る。

どの住宅会社がどの保証会社に登録しているかは、保証会社によってはホームページなどで確認できる。確認できない場合は、住宅会社へ直接聞いてみればいいだろう。
もし、どこの保証会社にも登録していない住宅会社の場合、不安に感じるのであれば建築工事請負契約を締結する前に、保証会社への登録をお願いすることもできる。

2017年 01月20日 11時05分