高利回りで注目されるJ-REITは、一口(ひとくち)大家さん

マイナス金利政策の影響もあり、銀行の定期預金金利は0.01%(2016年8月24日現在)という超低金利となっている。これでは何年お金を預けてもほとんど増えることはなく、どうやって資産運用をしたらよいか頭を抱えている方が多いのではないだろうか?

そんなか、平均で3.5%、銘柄によっては5%や6%という利回りが期待でき、注目されているのがJ-REIT(Jリート:上場不動産投資信託)である。

J-REITは、多くの人(投資家)からお金を集めて、そのお金でオフィスビルやマンションなどの不動産を購入し、その賃料収入等を投資してくれた人に分配するというしくみの金融商品(投資信託)である。また、J-REITは証券取引所に上場されているため、価格が公明で誰でも簡単に取引できるようになっている。

金融商品とか投資信託という言葉を使うと難しいイメージがあるが、要は、大勢でお金を出し合って不動産物件の共同オーナーになり、その不動産からの収入を分け合うというしくみである。競馬の世界には一口馬主というしくみがあるが、同様に一口大家さんのしくみと考えてもよいだろう。

マンションを一棟買いして大家さんになろうとすると億単位のお金が必要で、一部屋単位であっても何千万円というお金が必要になるのに対して、J-REITであれば10万円を切る価格で購入できる銘柄もあり、誰でも不動産投資ができるのが魅力であろう。しかも、利回りが定期預金などよりも高いとなると、注目されているのも十分にうなずける。

多くの投資家から集めたお金で不動産物件を購入し、その賃料収入等を投資家に分配する多くの投資家から集めたお金で不動産物件を購入し、その賃料収入等を投資家に分配する

J-REITのメリットとデメリット

一口大家になるようなイメージのJ-REITは、マンションなど現物投資と比べてメリットになる部分も多く、マイナス金利という背景の中、相対的にその魅力も高まっている。しかし、当然であるが金融商品として投資する上でのリスクもある。ここで、J-REITのメリットとリスクについて整理しておこう。

<メリット>
●少額で投資できる
多くの銘柄が一口10万~60万円くらいで購入できる(2016年8月24日現在)

●複数の不動産への分散投資ができる
多くのビルやマンションへ同時に投資するため、個人がマンションを一部屋買う場合よりも空室などのリスクが軽減できる

●利回りが高い
J-REITは株式の配当とは違い、収益のほとんどを分配するため分配金の額が大きく、利回りが高い。
※各銘柄の利回りは2.7%~6.8%、平均で3.5%(2016年8月24日現在)

●価格が上がる場合もある
不動産市場や経済情勢などによっては価格が上がる場合がある。

●不動産の専門家が運用してくれる
物件購入や管理、入居者の管理などは、すべて不動産の専門家がやってくれる。実際の大家さんのような管理業務は必要ない。

●価格が公明正大で、すぐに売買できる
証券取引所に上場されているため、価格が明確でいつでも売買が可能である。実際の不動産のように価格が適正かどうかわからない、売りたいが買い手がなかなか見つからないといったことがない。

<リスク>
●価格が下がるリスクがある
不動産市場や経済情勢などによっては、価格が購入価格を下回る場合がある。

●分配金が下がるリスクがある
不動産市場や経済情勢などによっては、分配金が下がり利回りが下がる場合がある。

●地震や火災などの影響を受けるリスクがある
地震や火災などで物件が被災した場合は、価格や分配金が下がる可能性がある。

●上場廃止や倒産のリスクがある
J-REITの運用状態によっては、株式と同じように上場廃止や倒産などのリスクがある。

投資スタンスによるJ-REITの値下がりリスクのとらえ方

J-REITは短期売買よりも、大家さんになったつもりで長期保有して分配金を狙った方がリスクは軽減されやすいJ-REITは短期売買よりも、大家さんになったつもりで長期保有して分配金を狙った方がリスクは軽減されやすい

J-REITには、利回りが高いというメリットがある反面、価格が下がるリスクもある。株式と同様に売買で儲けようとすると、初心者には運用は難しいだろう。しかし、大家さんになるつもり長期間保有するとなると、また違った側面が見えてくる。

たとえば、直接マンションを購入して大家さんになるとしたら、家賃収入を得ることが目的であるので、通常は数ヶ月や数年という短期で売ることはなく、基本的には保有し続けるのではないだろうか? さらにいうと、購入した物件の価格は年月が経てば安くなっていくのが一般的であろう。

それと同じ感覚で、分配金を得ることを目的にJ-REITを長期保有するならば、多少の価格下落は許容できることになる。

たとえば、一口50万円で分配金が年間25,000円のJ-REITを購入したとする。この場合、年間の利回りは5%である。実際には、将来にわたってこの分配金額が保証されるわけではないが、仮に10年間一定だとすると、10年間に受け取れる分配金は25万円となる。これなら、もし、10年後にこのJ-REITの価格が半額の25万円にまで値下がりしたとしても、トータルでは損をしたことにはならないだろう。
(ここでは金利によるお金の価値の変動は考慮していない)

このように、J-REITは株式の売買のような投資スタイルではなく、大家さんのような不動産投資スタイルで購入するならば、その価格変動リスクはある程度軽減されると考えてもよいことになる。ただし、その場合でも、倒産リスクなどをできるだけ避けるような銘柄選択や定常的な財務状況のチェックは必要となってくる。

J-RIETの銘柄を選ぶときのポイント

投資する銘柄は、物件の種類やエリア、スポンサー企業、投資指標や格付けなどを見て選択する投資する銘柄は、物件の種類やエリア、スポンサー企業、投資指標や格付けなどを見て選択する

J-REITに投資する場合は、どの銘柄にするか選ばなければならないが、その選択基準となるポイントをいくつかご紹介したい。

■投資物件の種類
J-REITが投資する物件には、オフィスビル、マンション、商業施設などがある。各銘柄がどんな物件に投資しているかによって、オフィスビルに特化したオフィスビル型、マンションに特化した住居型、複数の種類の物件を組み合わせた総合型などが存在している。
また、最近ではホテルや物流施設、高齢者施設などに投資する銘柄などもある。

一般的には、オフィスビル型は景気の影響を受けやすく、住宅型は受けにくいなどの特徴がある。

■物件の地域
J-REITが投資する地域は、東京を中心とした大都市の物件に特化したものや地方を含め全国に幅広く投資するものなどがある。一般的に大都市の物件の方が値下がりリスクは少ない傾向にある。

■スポンサー企業
J-REITでは、一般的に、不動産会社や金融機関、商社、独立系の運用会社などが資産運用会社の親会社になっている。このスポンサー企業の信用力が高い方が、J-REIT自体の信用力にもつながるといえ、また不動産業界に強い方がよい物件をそろえやすいといえるだろう。

■分配金利回り
現在の価格に対する年間の予想分配金の割合を分配金利回りという。今購入したとしてどれだけの利回りが期待できるかという指標となる。利回りは高い方がよいが、人気のある銘柄、信頼性が高い銘柄ほど価格が高くなり利回りが低くなる傾向もあるので、利回りが高いという理由だけで銘柄を選ぶのは賢明ではない。

■NAV倍率
J-REITの価格が、保有不動産の価値に対して何倍かを示す指標。保有不動産の評価額から負債などを差し引いた純資産価値に対して、J-REITの時価総額が何倍であるかを計算したもの。株式のPBR(株価純資産倍率)に相当するもので、価格の割安・割高を判断する材料。1倍を割ると割安、1倍を超えて大きくなるほど割高となる。

■格付け
企業や債券などと同じように、J-REITも格付け機関から格付けを取得しているところがある。安定性を求めるなら取得している格付けが高いかどうかが一つの基準となる。


投資するJ-REITを選ぶときには、これらのポイントをもとに判断するとよいが、初心者でよくわからないという場合は、東証REIT指数連動型上場投信というETFに投資するという選択肢もある。東証に上場しているJ-REIT全体に投資することになるので、銘柄選びをする必要がなく、個別銘柄の倒産リスクなども軽減できる。ただし、利回りは個別のJ-REITに投資するよりも低くなる。(8/24時点の利回りは1.3%程度)
この東証REIT指数連動型上場投信も株式同様の取引ができる商品である。

実際にJ-REITに投資するには

J-REITや東証REIT指数連動型上場投信に投資したいと思ったら、株式の取引と同様に証券会社に証券口座を開設し、売買の注文を出すことになる。したがって、これまで株式や投資信託等の取引経験がない場合は、新規に証券会社に口座開設する必要がある。

また、J-REITはNISA(少額投資非課税制度)の対象となっているため、NISA口座を申し込んで非課税枠で取引すれば、分配金や売買益が非課税となる。売買で損失が出たときのデメリットがあるNISAではあるが、J-REITの長期保有であれば、比較的、非課税のメリットを受けやすいのであわせて考えるとよいだろう。

マイナス金利で、預金などの元本保証がある金融商品では資産を増やせない時代なので、多少のリスクを負っても資産を増やしたい、実際のマンションやアパート経営はできなくても、少額で大家さんになったような不動産投資をしたいという人であれば、J-REITは十分に検討する価値があるだろう。ただし、リスクのある金融商品で、投資の判断は自己責任となることをお忘れなく。

※当記事は、J-REITの概要や金融商品としての特性を紹介することを目的にしたものであり、投資勧誘や推奨を目的としたものではありません。 投資に関する決定は、ご自身の判断において行われるようお願いします。

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J-REITの取引の仕方は基本的に株式と同じJ-REITの取引の仕方は基本的に株式と同じ

2016年 09月12日 11時06分