人間が"鳥の目線"になれる都市模型

住宅や鉄道などの模型を目にしたことがある人は多くいると思う。だが、無数のビルや住宅、交通インフラの集合体・巨大な都市模型となると、ぐっと少なくなるはずだ。森ビル株式会社が独自の技術で制作している"都市模型(ジオラマ)"を目にして、まずその巨大さに驚いた。
大きなフロアに広がる17メートル×21メートルの都市模型は、港区を中心に東京都の13区が正確に再現されている。
ひとつひとつの建物は1000分の1のスケールで作られており、自身の身長が160センチであれば、上空1600メートルほどから都市を見ることが再現出来るのだ。ジオラマ付近に設けられた台から見晴らせば、さらに500メートル上空から東京が見渡せる。まさに"鳥の目線"だ。
至近距離ではその精巧さにまた驚き、感動すら覚えるほどである。都市模型などの制作を担う部署である、森ビル株式会社 計画企画部 メディア企画部の河合隆平氏にお話しを伺った。都市模型はどのようにして作られているのだろうか?

森ビルが初めて都市模型を手掛けたのは1998年。18年の間に独自の制作ノウハウが蓄積されている。<br>画面手前は新宿エリア、奥には湾岸エリアや羽田空港などが広がる。東西に17キロ、南北に21キロの東京を再現森ビルが初めて都市模型を手掛けたのは1998年。18年の間に独自の制作ノウハウが蓄積されている。
画面手前は新宿エリア、奥には湾岸エリアや羽田空港などが広がる。東西に17キロ、南北に21キロの東京を再現

ひとつの物件にかかる制作期間は約1週間

「制作に取り掛かる前に現地へ行き、写真や動画などの撮影を1週間程度かけて行います。航空写真や図面など、必要な素材の準備が出来たら制作を開始します。写真にトリミングやあおり修正などの加工を加えて、建物に貼り付けるテクスチャを作ります。次に、建物の形状を専用のカッターで作成し、スタイロフォームにテクスチャを貼り1つの物件が完成するのですが、素材の準備期間も含めると1つの物件につき1週間程度はかかります」と、河合氏。

ジオラマは三期にわたって制作されたそうだ。2002年に完成した模型の大きさは面積にすると78m2。相当の期間と労力をかけて制作されたのではないかと想像できる。
「実はいま展示している模型は2002年に制作した3代目で、制作にかかった期間は9ヶ月ほどでした。その後、2009年にオリンピック開催会場などを含めてさらに拡大し、最近では羽田空港も追加しました。これまで制作に関わった人数は、のべ200人ほどになります。2009年には2016年オリンピック・パラリンピック招致に協力し、IOC視察団へのプレゼンテーションにも活用されています。通常は一般公開していませんが、当時は東京ビッグサイトで一般公開も行いました」

オリンピック誘致の都市の説明ツールとして東京都から依頼があるほど精巧な都市模型。じっくり見れば数時間では見切れないほどに見ごたえのあるものだが、ここでは一部をピックアップしてご紹介しよう。

(画像左上)東京タワー。近くで見ると細かな部分までつくりこまれていることがわかる。(画像右上)お台場エリア<br>(画像左下)新宿駅ガード下から歌舞伎町方面。(画像右下) 新宿区戸山の都営戸山ハイツ付近(画像左上)東京タワー。近くで見ると細かな部分までつくりこまれていることがわかる。(画像右上)お台場エリア
(画像左下)新宿駅ガード下から歌舞伎町方面。(画像右下) 新宿区戸山の都営戸山ハイツ付近

都市模型で見る新宿駅西口エリア

新宿西口エリアの高層ビルが立ち並ぶエリア。新宿三井ビルディングや新宿センタービル、コクーンタワーなど、一度は目にしたことがあるであろうビルが精巧につくられている。

新宿駅西口エリア新宿駅西口エリア

新宿区 国立競技場付近

国立競技場はまだ解体前の状態。手前に見えるのはNTTドコモ代々木ビル。上空から眺めると新宿、代々木エリアは新宿御苑や明治神宮外苑などの緑地とビルの密集地帯が混在したエリアであることが分かりやすい。道の高低までも再現されている。

新宿区 国立競技場付近新宿区 国立競技場付近

東京臨海副都心エリア

東京都が策定した七つの副都心のうち、最後に策定されたのがこの東京臨海副都心。(七つの副都心は新宿副都心、池袋副都心、渋谷副都心、上野・浅草副都心、錦糸町・亀戸副都心、大崎副都心、臨海副都心)お台場のパレットタウン、レインボーブリッジなどが写真中央に見える。東京オリンピックの2020年に向け、大型クルーズ船の停泊拠点やカジノを含めた複合施設の開発も検討されている。

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続けて、「【森ビル都市模型(ジオラマ)②】都市模型を通して考える未来の街づくり」では、新たに追加制作された羽田空港などについてご紹介したい。

東京臨海副都心エリア東京臨海副都心エリア

2016年 06月13日 11時05分