2016年1月より始まる、レインズの機能追加

お話を伺った国土交通省 土地・建設産業局 不動産産業課の本間さん(写真左)と三井さん(写真右)お話を伺った国土交通省 土地・建設産業局 不動産産業課の本間さん(写真左)と三井さん(写真右)

2016年1月から、取引の透明性を高め、売却依頼主の利益を保護する目的で、レインズ上で「取引状況(ステータス)管理」が実施される。それに伴い、売却依頼主はインターネットで売却依頼物件のレインズ登録内容、取引現状を確認できるようになった。また、今までの物件情報に加え、物件の性能・建物検査・住宅履歴・リフォーム状況などの項目がレインズ上に追加される。

そもそもこの「レインズ(Real Estate Information Network System:不動産流通標準情報システム)」、以前HOME'S PRESSで「意外と知られていない不動産トレンド用語ランキング」ユーザー調査を行ったところ、この言葉を「知らない」が76.3%と1位となった。それもそのはずで、レインズというのは迅速に取引の相手方の探索を行い、制約可能性を向上させるために構築された"宅地建物取引業者間の物件探索システム"であり、今までは不動産業者のみにしか開示されていないシステムであった。たとえ物件の売主であっても一般には見ることが出来ないシステムだったのだ。

今回は、追加される機能とその目的について、運営する4つの不動産流通機構(東日本不動産流通機構、中部圏不動産流通機構、近畿圏不動産流通機構、西日本不動産流通機構)と検討を重ねてきた国土交通省 土地・建設産業局 不動産業課の本間さん、三井さんにお話を伺ってきた。

目的は"不動産流通の活性化と消費者利益の保護・増進"

「国として今後の不動産を取り巻く環境を考えると、既存不動産の流通の活性化は、真摯に取り組んでいかなければならない課題のひとつです。それには、住宅の正しい評価と不動産情報の適切な開示が必要だ、と考えています。その一環として、不動産流通業者間の物件検索システムであるレインズの機能向上をレインズを運営する4つの不動産流通機構とともに2015年2月より議論を重ねてきました。

その結果今回、住宅の正しい評価については、性能・建物検査・住宅履歴・リフォーム状況などの項目をレインズ上に追加し、上物である住宅のポテンシャル評価を情報の中に盛り込んでいます。この項目は各不動産ポータルサイトとも連携して、物件情報に追加される動きとなっており、これにより今までよりも既存不動産の価値を判別できるようになるとよいと思っています。

また、もうひとつは取引の透明性を高め、売却依頼主の利益を保護する目的で『取引状況(ステータス)管理』を実施することになりました。それに伴い、売却依頼主はインターネット上の専用確認画面で売却依頼主物件のレインズ登録内容、取引の現状を確認できるようになります」と本間さんは話す。

今まで、不動産業者間にのみ公開されていたレインズの登録内容が、まずは売却依頼主に限られるが一般に公開される意味は大きい。これにより売却依頼主自らが物件の取引状況を確認できるという、不動産流通情報の透明性に向けて一歩進んだ形となる。

今回のレインズ「取引状況(ステータス)管理」確認のイメージ図は以下の通り。

レインズ「取引状況(ステータス)管理」確認のイメージ図レインズ「取引状況(ステータス)管理」確認のイメージ図

売却依頼主が確認できる「取引状況(ステータス)管理」

詳しくこの「取引状況(ステータス)管理」の仕組みと内容を見ていきたい。

① 直接確認できる対象物件
「専任」もしくは「専属専任」媒介契約の売り物件であり、2016年(平成28年)1月以降にレインズに登録・変更・再登録された物件

② 登録内容の確認方法
2016年(平成28年)1月以降、登録・変更・再登録した際に発行される登録証明書に専用確認画面を開くためのURL(アドレス)、物件ごとに付与されたIDとパスワードが記載されている。
売却依頼主は媒介契約を締結した不動産会社から登録証明書を受け取り、インターネット上で自身の売却依頼物件の登録内容を確認できることになる。

③ 確認できる物件登録の内容
1)レインズに登録されている物件情報
2)図面
3)「取引状況」※以下のステータス
・公開中:他の不動産会社からの問い合わせを受け付けている状態
・書面による購入申込みあり:不動産会社が書面による購入申込みを受けた状態
・売主都合で一時紹介停止中:売却依頼主の事情により一時的に物件を紹介できない状態
4)「取引状況の補足」
取引状況の変更日や前述の「売主都合で一時紹介停止中」の詳細内容など、他の不動産会社に伝えなければならない情報の記載

売却依頼主が確認できる画面は以下の通りとなる。

売却依頼主専用のレインズ確認画面売却依頼主専用のレインズ確認画面

日本のストック住宅が本当の価値を持つ日

不動産情報の透明性と正確性・充実が、しいてはわが国の不動産流通活性化につながる不動産情報の透明性と正確性・充実が、しいてはわが国の不動産流通活性化につながる

一般的に情報開示が遅れている…と言われている日本の不動産。
例えば、アメリカではMLSという不動産情報システムがある。圧倒的な流通量を誇るアメリカでは、不動産業者だけでなく、売りに出ているほぼすべての物件情報をこのシステムにより、一般でもインターネットで閲覧することができる。売り手は適正な売却価格がつかめ、買い手は周辺物件と比較検討して、価格の妥当性を判断できるなど、不動産取引の透明性と利便性、そしてスピードを飛躍的に高めた。

「一概に海外と比べることはできませんが、日本の不動産流通は過渡期にきていると感じます。制度の見直しだけでなく、今後の不動産流通の活性化には情報の透明性と正確性、充実が必須です。何より、充実した情報をもとに安心・安全に不動産を取引していくことが、結果的に不動産業界の信頼につながり、しいてはわが国の不動産流通活性化につながると思います。まずは、今回公開される取引状況管理の画面を売主さんが関心を払って見ていただきたい、と思っています」と三井さん。

今まで、一部ではあるが不動産業者が物件情報を握って、売り手買い手双方の手数料を目的に情報を囲い込む…という閉鎖的なことが起こっていた。この行為は、売却依頼主の利益を害するだけでなく、不動産流通のスピードを遅くする。ひとつの物件を売買するために時間をかければ、結局、それぞれの業務コストが経営コストとして跳ね返ってくる。

今回は売却依頼主に限られての公開ではあるが、それでも一般に情報を開示することで、売主が自身の取引状況を確認でき、契約不動産業者間とのコミュニケーションが事実情報をもとにしたものとなる。まずは、不動産会社まかせだけでなく、責任と関心を払って注視していく姿勢が必要であろう。

今回のこの「取引状況(ステータス)管理」の導入が、情報透明性の一歩となり、不動産業界の信頼が確立する事で、不動産流通市場が活性化することを期待したい。

2016年 01月04日 11時07分