キャンピングカーとトレーラーハウスの違い

「ひとつの土地にとどまらず、自由に移動できる家に住めたら」。ふとそんなことを考えることはないだろうか。現在使用している住宅設備や家電はそのままに、車窓を過ぎていく風景を楽しみながら引っ越し。想像しただけでワクワクする人もいるだろう。

「移動する家」と聞くとキャンピングカーを思い出すかもしれない。しかしこれは給排水を付属のタンクで賄うなどで、短期間の生活にしか向かない。「住む」ことを想定するなら、トレーラーハウスを選ぶことになるだろう。
キャンピングカーとトレーラーハウスのおもな違いは、使用目的にある。前者は常時公道を走ることを目的としているので、エンジンを搭載して自走できる。一部牽引式もあるがいずれも車検を通すことが必要だ。一方で後者にはエンジンがなく、牽引することで公道を走ることはできるものの基本的には定着して住宅、店舗などとして使用することを目的としている。

「移動する家」トレーラーハウス。実際に住むにはどのくらいの費用がかかるのか? 法的手続きは? 様々な疑問にお答えしよう。

上:キャンピングカー。一般的なクルマを改造したもので自走可能。短期間の生活に向く。下:トレーラーハウス。移動が可能なものの一カ所に定着することを目的に制作されている。電気、ガス、水道などインフラの引き込みが可能(資料提供:ドリームアイランド千葉)上:キャンピングカー。一般的なクルマを改造したもので自走可能。短期間の生活に向く。下:トレーラーハウス。移動が可能なものの一カ所に定着することを目的に制作されている。電気、ガス、水道などインフラの引き込みが可能(資料提供:ドリームアイランド千葉)

構造も設備も一般的な住宅とほぼ同じ

トレーラーハウスは、簡単に言ってしまうとタイヤの付いたシャーシに建物が乗っているもの。建物は2×4構造が多い。つまり普通の住宅とほぼ同じつくりだ。

そのため住宅に設置できる設備は、ほとんど取り付けることができる。キッチン、トイレ、バスルーム、冷蔵庫、エアコン、テレビ、どれも量販店で売られている製品で問題ないので特別にオーダーする必要はない。大体は販売されている時点ですでに取り付けられている。

大きさは長さ6m、幅2.5mくらいからあるが、このサイズは基本的に独り暮らし用。2人以上で住む場合は少なくても長さ8mはほしい。もっとも普及しているファミリーサイズは長さ11m、幅3.5m前後だ。

価格の目安は、大きさや年式にもよるが中古なら400万円くらいから、新車なら800万円くらいから見つかるはずだ。この価格帯で基礎工事は不要、しかも家電完備。一般的は家と比較すると、かなりリーズナブルといえるだろう。ただし、あまりに安価なものは、壁が薄くて断熱性が低かったり、設備のクオリティが低かったりするのでよく見比べたい。

トレーラーハウスの内装例。木目を基調としたデザインで一般的な住宅と見分けがつかない(資料提供:ドリームアイランド千葉)トレーラーハウスの内装例。木目を基調としたデザインで一般的な住宅と見分けがつかない(資料提供:ドリームアイランド千葉)

電気、ガス、水道を引くことも可能

定住ということになれば電気、ガス、水道などインフラの整備が気になる。しかし、心配は無用。基本的に住宅と同じ構造なので、これらを引き込むことが可能だ。ここがキャンピングカーと大きく異なる部分だろう。

ただし、詳細は後述するがこのようなインフラは簡単に取り外し可能な状態にしておくことが必要だ。そのため都市ガスは不可。プロパンガスのみになる。

どのように引き込めばいいのかは、車両の販売店や工事会社と相談すればいいだろう。

エアコンは家電量販店で販売しているもの。電気だけでなく、ガス、上下水道などインフラは一般住宅とほとんど同じように引き込める(資料提供:ドリームアイランド千葉)エアコンは家電量販店で販売しているもの。電気だけでなく、ガス、上下水道などインフラは一般住宅とほとんど同じように引き込める(資料提供:ドリームアイランド千葉)

住民登録が可能。さらに固定資産税も自動車税も不要

好きなときに移動できる車両とはいえ電気、ガス、水道が引き込めるならば立派な家だ。自治体にもよるが住民登録だってできる。ならば建築物として扱われ、固定資産税などの納税義務が生じるのだろうか。

その答えはケースバイケースだ。自治体によって異なるが、一般的にはいくつかの条件をクリアすればトレーラーハウスは車両扱いとなる。それゆえ普通の住宅では納税義務がある固定資産税や不動産取得税はかからない。また、車両であっても自走できないので自動車税も納める必要はない。非常に経済的メリットが大きい住居といえる。

また、建築物ではないので、通常は住居を建てられない市街化調整区域や農地でも設置できる。ただし、自治体によって規制している場合があるので、事前確認を忘れないようにしたい。

このように数々のメリットがあるトレーラーハウスだが、それらを享受するにはいくつかハードルがある。まず、以下のような状態にしてしまうと、建築物に該当するので固定資産税などを納めなければならない。

・随時かつ任意に移動することに支障のある階段・ポーチ・ベランダがあるもの

・給排水・電気・ガス・電話・冷暖房等の設備配線配管をトレーラーハウスに接続する方式が工具を使用しないで取り外すことができないもの

・車輪が取り外されているもの、走行するに十分な状態に保守されていないもの

・設置場所から公道に至るまでの通路が連続して確保されていないもの

くわしくは各自治体へ確認してほしい。

また、車幅2.5m以下、全長12m以下、高さ3.8m以下などの条件をクリアして車検を取得することで公道を走行することができるが、これらを超える場合などは、道路局で特殊車両通行許可を取得してからでないと公道を走行することができない。

さらに大きなトレーラーハウスを牽引して運ぶのは、非常に高度な技術が必要だ。素人にはできないと考えた方がいいだろう。そのため移動する際は、プロに依頼することになる。この費用は距離にもよるが、少なくても数十万円は覚悟しなければならない。

「貸し切りの海辺」、「はるか彼方まで見渡せる高台」など住む場所を選ばないトレーラーハウス。上記のハードルを差し引いても魅力を感じる人は多いのではないだろうか。これを機会に選択肢に入れてはいかがだろう。

取材協力:ドリームアイランド千葉
http://www.support1997.com/dream/

給排水などのインフラは工具を使用しないで取り外せるようにしておかないと建築物扱いとなり固定資産税の対象となる。また、タイヤを取り外してジャッキなどで支える状態にしても同様(資料提供:ドリームアイランド千葉)給排水などのインフラは工具を使用しないで取り外せるようにしておかないと建築物扱いとなり固定資産税の対象となる。また、タイヤを取り外してジャッキなどで支える状態にしても同様(資料提供:ドリームアイランド千葉)

2015年 12月06日 11時00分