一般的には連帯保証人を必要としないケースが多い

住宅ローンを借りようとするときに、連帯保証人を誰に頼めばよいのか、連帯保証人になってくれそうな人がいない、などと悩んでいる人もいるだろう。だが結論を先にいえば、一部の地銀や信金などを除いて一般的に連帯保証人は不要だ。

ただし、次のような場合には連帯保証人または連帯債務者を求められるケースが多いため、「連帯保証人は不要」と思い込んでいれば思わぬ壁に直面することがある。とくに、審査結果によって連帯保証人を求められたときには、その段取りが間に合わずに売買契約を解除する事態にもなりかねない。

【連帯保証人または連帯債務者を求められることが多い申込者の条件】
□ 夫婦などで収入合算をする場合(収入合算者が連帯保証人)
□ 土地や建物が共有名義の場合(共有者が連帯債務者)
□ ペアローン、親子リレーローンなど複数の債務者形式となる場合(連帯債務者)
□ 親名義の土地に住宅を建てる場合(担保提供者が異なる場合)
□ 自営業者の場合
□ 借入額に対して年収が少ない、勤続年数が短いなど、審査の内容がよくない場合
□ その他、審査の結果に応じて連帯保証人が必要と判断された場合

つまり、一戸建て住宅やマンションを単独名義で購入して住宅ローンの申し込みをし、収入合算などをしなくても借入額に見合う年収があって審査結果に問題がなければ、原則として連帯保証人は不要である。その代わりに、たいていの金融機関では系列の信用保証会社による保証を条件としている。また、連帯保証人が求められるケースでも、それに加えて保証会社の利用が必須となることが一般的だ。

保証料がかなりの高額になることもある

金利が低い代わりに保証料が高額なケースもあるので、住宅ローンを選ぶ際には十分に注意したい金利が低い代わりに保証料が高額なケースもあるので、住宅ローンを選ぶ際には十分に注意したい

保証会社の保証を受けるためには、審査の結果に応じて決められる保証料を支払わなければならない。例えば、みずほ銀行の場合には返済期間が35年で元利均等返済のときに、借入額1,000万円あたり206,110円〜721,470円の保証料だ。三井住友銀行なら同じ条件で206,200円〜824,370円となる(金額は各行WEBサイトの商品説明書記載による)。申込書の審査内容が良ければそれほど高額にならないが、その内容によっては借入額が4,000万円の場合に保証料だけで300万円を超えるケースもあるのだ。

住宅ローン申込者本人の審査内容が悪い場合だけでなく、購入する物件(担保となる物件)の条件が劣る場合も高額な保証料となりやすい。この保証料を一括前払いとするか、あるいは毎月の返済額に組み入れるのかは選択できるが、いずれにしてもかなりの負担になるだろう。

住宅ローンを比較する際には、どうしても金利に目を奪われがちになる。少しでも低い金利の住宅ローンを借りたいと考えるのが当然だろう。しかし、この保証料や融資手数料など借入れに伴う諸費用のことを忘れてはならない。金利が低い代わりに諸費用が高いケースがあるなど、トータルで考えたときの優劣は決して表面上の金利だけで判断することができないのだ。しかし、保証料がいくらになるのかは申し込みをして審査を受けてみなければ確定しないなど、現実的に難しい問題も存在している。

保証会社は誰のためのものなのか

保証会社は住宅ローン利用者(債務者)が返済できなくなったとき、その残額を立て替えて金融機関に支払ってくれる。高額な保証料を負担するだけに、債務者にとって頼もしい味方だ……などと早合点してはいけない。保証会社が立替払い(代位弁済)をしたからといって、債務がなくなるわけでも減るわけでもない。むしろ相手先が、債権回収の不得手な金融機関から、債権処理のプロである保証会社に変わるだけだ。

そのため、住宅ローンの返済が滞ってから一定期間が経つと、融資を受けた金融機関ではなく保証会社から支払いの督促、催告を受けることになる。それでも支払うことができなければ、やがては任意売却や競売といった手段で物件を処分しなければならない。ある程度の割合の人が返済不能に陥っても保証会社が利益を保つためには、リスクの低い住宅ローン利用者からもしっかりと保証料を得ることが必要である。したがって、「保証料を支払いたくないから自分で連帯保証人を用意する」と言っても、認めてくれないケースが大半だろう。

また、保証会社を利用することにより、金融機関は不良債権を抱えるリスクから解放される。住宅ローンは30年、35年といった長期にわたることが多く、その間に継続して連帯保証人を立てることが困難なケースが大半であることから、住宅ローン利用者の利便性を考慮して導入された保証会社制度だが、実質的には金融機関のための保険制度として機能している面も否めない。

連帯保証人不要、保証料不要の金融機関もある

住宅金融支援機構が民間金融機関と提携する「フラット35」は原則として連帯保証人が不要であり、保証会社を利用する必要もない。ただし、夫婦などで収入合算をする場合には、一方が連帯保証人ではなく「連帯債務者」となることを求められる。

また、ネット銀行や一部の地方銀行などでは、どちらも不要としているケースが多くみられる。しかし、保証会社を関与させなければ融資のリスクが直接その金融機関に及ぶため、審査は厳しくなりがちだ。申込者の属性が悪い場合だけでなく、物件の内容によっても融資を否認されることがあるだろう。さらに、保証料がない代わりに融資事務手数料が高額なケースもあるので十分に注意したい。

連帯保証人も保証料も不要な住宅ローンでは、そのぶん審査が厳しくなることもある連帯保証人も保証料も不要な住宅ローンでは、そのぶん審査が厳しくなることもある

連帯保証人と連帯債務者でどう違うのか

夫婦で収入合算をして住宅ローンを申し込むときなどには、連帯保証人と連帯債務者のことについてもしっかりと理解しておきたい。単なる「保証人」の場合には、債権者から支払いの請求を受けたときに「先に本人へ請求してくれ」などと主張する権利(催告の抗弁権)、「先に本人の財産から差押えなどを執行してくれ」などと主張する権利(検索の抗弁権)がある。そのどちらの権利もないのが連帯保証人や連帯債務者だ。連帯保証人の場合は主債務者と連帯して債務を負い、連帯債務者の場合は主債務者と同一の債務を独立して負担することになる。

なかなか分かりづらい面もあるだろうが、連帯保証人は債務者本人の返済が滞ってから請求を受ける「保証」の立場なのに対して、連帯債務者は「債務者」そのものであり、金融機関からの請求をいつでも受ける可能性のある立場だ。また、連帯債務者の場合は持分に応じて住宅ローン控除の適用を受けることができるのに対し、連帯保証人はその適用がないといった違いもある。

しっかりと理解しておきたいのは、連帯保証人や連帯債務者の立場は「離婚などしたときでも外すことが認められない」という問題だ。住宅ローンの残高がかなり少なくなっている、他の確実な連帯保証人を連れてくる、親族が所有する不動産などで十分な担保力があるものを差し入れるなど、交渉によっては外せる場合があるものの、現実には極めて困難なケースが多いだろう。離婚後も残る連帯債務関係は、お互いにさまざまな障害を伴うことが多い。収入合算や共有名義で妻が連帯保証人、連帯債務者になるときは、離婚の原因となるような行動は慎んで夫婦円満を心がけることも大切だ。

2015年 08月10日 11時11分