地震保険料は全国平均で19%引き上げられる

地震保険の加入件数は年々増え続け、2013年末の世帯加入率は27.9%になったという。巨大地震のリスクが高まっていることが背景にあるが、それは同時に保険金を支払う側のリスクでもある。そのため、地震保険料は2014年7月に平均15.5%の引き上げが実施された。そして、2017年1月以降に再び平均19%の引き上げが行われる見通しだ。損保各社で構成される「損害保険料率算出機構」が、2015年夏頃に金融庁への届出をする予定となっている。

それと同時に、これまで「全損」「半損」「一部損」の3つだった損害区分のうち、「半損」の部分を「大半損」と「小半損」に分け、全部で4区分にする予定だ。地震保険料の引き上げ幅については、平均で24%、あるいは28%という案もあったようだが、損害区分を4つにすることで19%に抑えられたという。見方を変えれば、被災者が受け取る保険金の平均額は下がるということであろう。

ちなみに「全損」は家屋の損害割合が50%以上の場合で、保険金は100%が支払われる。それに対して「一部損」は損害割合が3%以上20%未満の場合で、支払われる保険金は5%にすぎない。新設される「大半損」は損害割合が40%以上50%未満で保険金は60%、「小半損」は損害割合が20%以上40%未満で保険金は30%となるのだ。

既存の地震保険契約者も、引き上げ後に迎える更新時から新しい保険料が適用されることになるので十分に留意しておきたい。

( )内は地震保険の支払い割合( )内は地震保険の支払い割合

火災保険は10年超の長期契約を廃止へ

火災保険料については、その算出基準となる料率が2014年7月に引き上げられている。損害保険料率算出機構が示した引き上げ幅は全国平均で3.5%となっているが、その幅は都道府県や建物構造によって異なり、30%近く引き上げられたケースもある。ただし、この料率に強制力はないため、対応は損害保険会社ごとに変わってくるだろう。

その一方で、これまで最長36年だった火災保険の契約期間が、最長10年に改められる予定だ。2015年10月以降の契約が対象となる見通しであり、大半の損害保険会社が変更するものとみられている。

現在、火災保険料は長期契約になるほど安く設定されており、最長の36年契約なら約32%、30年契約なら約28%の割引となっている。10年契約なら約18%の割引だ。この10年契約の割引率が維持されると仮定して、30年契約の場合と、10年契約を更新して合計30年になった場合を比較すれば、約14%割高になるのである。その間にはさらなる保険料の引き上げも予測され、それを加味すれば20%超、30%超といった実質値上げになることも考えられるのだ。

今のうちに火災保険を長期契約に切り替えるのも一つの選択肢

すでに短期契約の火災保険に加入しているなら、2015年9月までに長期契約へ切り替えるのも一つの選択肢だ。現在の契約は中途解約することになるが、残り期間分の保険料はおおむね返還される。ただし、今の家に今後も長く住む予定でなければ、得られるメリットは少ないだろう。近いうちに大掛かりなリフォームなどを予定し、必要な保険金額が大きくなる場合も要注意だ。

また、長期契約にするためにはそれなりにまとまったお金が必要になること、将来的に保険内容が刷新されて有利な新商品が出ても既契約には適用されないことなど、乗り換えによるデメリットもある。さらに、もし仮にこれから火災保険料の大幅な値下がりがあるとすれば、長期契約が不利となる可能性もないわけではない。

2015年中に既契約の満期を迎える人はもちろんのこと、そうでない人も現在の契約内容を確認のうえ、2015年9月までに長期契約への変更をしたときにどうなるのか、しっかりシミュレーションしてみるとよいだろう。なお、その際に地震保険も契約変更となることに注意したい。2014年の地震保険料引き上げの影響で、切り替えに伴う負担が大きくなる場合もある。

火災保険にさまざまなバリエーションが生まれる可能性もある

集中豪雨や巨大竜巻などの異常気象や自然災害が増加に伴って火災保険の長期契約による収支予測が困難になり、10年を超える長期契約の廃止につながっている集中豪雨や巨大竜巻などの異常気象や自然災害が増加に伴って火災保険の長期契約による収支予測が困難になり、10年を超える長期契約の廃止につながっている

地震保険は国と民間が共同で運営し、どの損害保険会社でも補償内容や保険料は同一だ。それに対して火災保険は契約する損害保険会社によって異なり、火災保険料も自由化されている。ところが、補償内容の組み合わせを選ぶことで保険料を低く抑えることができる場合があるものの、ほぼ横並びだったり、補償内容に大きな違いがなかったりすることも少なくない。

しかし、これからはその枠組みが変わることも考えられる。火災保険の10年を超える長期契約が廃止される背景には、集中豪雨、巨大台風、竜巻、大規模な土砂災害、大雪などの異常気象や被害が年々増加していること、それに伴い長期契約による収支予測が困難になったことなどが挙げられている。契約期間を10年以内に限定すれば、損害保険会社のリスク管理が容易になる側面もあるのだ。

そのため、補償対象や範囲など商品内容にさまざまな工夫が加えられ、各社から特色のある火災保険が提示されるようになることも考えられる。大幅な値引き競争が起きることは考えにくいものの、従来に比べ柔軟な動きも出てくるだろう。住宅ローンとの組み合わせ商品が増えることも考えられる。

火災保険の商品内容が多種多様になったとき、それをどう選ぶのかが重要になる。一戸建て住宅やマンションの購入にあたり、住宅ローンを借りるときになって初めて火災保険の説明を受ける人も多いだろうが、できる限り事前に情報収集をしておきたいものだ。

保険内容をしっかりと把握することが大切

日本人は保険好きだと言われることも多いが、生命保険文化センターがまとめた「平成24年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、1世帯あたりの生命保険料払込額は年間41万6千円にのぼっている。これに火災保険、地震保険、自動車保険などを加えれば、年額で50万円を超える世帯も多いだろう。仮にこれを30年間続ければ1,500万円を超える。住宅ローンには及ばないとしても、かなりの負担金額だ。

一方で、一般社団法人日本損害保険協会がまとめた資料によれば、2009年3月末時点において累計162万件の契約に保険料の支払い漏れがあり、差額保険料の399億円を返還したという。生命保険においても、未払い問題が繰り返し報道されている。当然ながらその責任は損保、生保の各社にあるだろうが、消費者側が保険内容を十分に理解していなかったり、支払い手続きの段階において知識格差が大きかったりする側面もあるだろう。

保険会社から勧誘されるままに加入して過剰な保険内容になっていないか、不必要な範囲まで補償対象に含まれていないか、自分あるいは家族にとって本当に必要な保険は何なのかなど、しっかりと見直してみることも欠かせない。

火災保険料や地震保険料が値上がりし、さらに厚生年金保険料、国民年金保険料、介護保険料などの社会保険料も、2017年まで毎年上がっていくことがすでに決まっている。負担が増える反面で給付は減少する見込みだが、ますます増える保険料負担で家計が破綻することがないようにしたいものだ。

将来起こり得る巨大地震等のリスクが高まり、値上げ傾向にある地震保険と火災保険。</br>
しっかり備えておきたいものの、過剰な保険内容になっていないか、不要な範囲まで</br>補償対象に含まれていないかなど、しっかりと見直してみることも欠かせない将来起こり得る巨大地震等のリスクが高まり、値上げ傾向にある地震保険と火災保険。
しっかり備えておきたいものの、過剰な保険内容になっていないか、不要な範囲まで
補償対象に含まれていないかなど、しっかりと見直してみることも欠かせない

2015年 06月29日 11時06分