建物に比べエクステリアの予算感はつかみにくい

家を建てることに慣れている人はあまりいない。読者の多くは未体験、または1~2回といったところではないだろうか。
それはエクステリアにおいても同じことがいえるはず。エクステリアは建物を建築する際に検討するのが一般的だからだ。「家はそのままだけど、エクステリアだけ全部やり変えた」という話を聞いたことがある人は、ほとんどいないだろう。
また、エクステリアは建物ほど普段から興味を持って見ていないので、どのようなデザインや設備があるのかよく分からないのではないだろうか。
まして建物のように「坪単価○○万円」といった広告やテレビCMを、あまり見かけないので予算感がつかみにくい。
そこで住宅だけでなく、エクステリア工事も数多く手掛ける積水ハウス株式会社などに取材を行った。その内容をもとにエクステリアを検討する際に知っておくべきことや「この費用ならばここまでできる」といった予算別の仕様などを紹介する。

人気のエクステリアのキーワードは「シンプル&ナチュラル」

最近のエクステリアの傾向は「シンプル&ナチュラル」。華美な装飾はせずにシンプルに、また自然石や枕木など天然素材を多用することで、落ち着いた空間を演出する。
植栽に関しても従来の生垣として刈り込んで敷地を囲む樹種ではなく、枝を伸びるがままにして自然樹形を楽しむ樹種が好まれる傾向がある。たとえばヤマボウシやトネリコなどだ。

「シンプル&ナチュラル」なオープンスタイルのエクステリア例。天然石の塀や自然樹形の植栽などが特徴。四季折々の草花も楽しめる(画像提供:積水ハウス)「シンプル&ナチュラル」なオープンスタイルのエクステリア例。天然石の塀や自然樹形の植栽などが特徴。四季折々の草花も楽しめる(画像提供:積水ハウス)

防犯性の高いエクステリアとは?

家の周りに砂利を敷き詰めた例。歩くと音がするため侵入者の存在をより早く知ることができる。また、そのことを入ろうとする者も理解しているので、抑止効果もある家の周りに砂利を敷き詰めた例。歩くと音がするため侵入者の存在をより早く知ることができる。また、そのことを入ろうとする者も理解しているので、抑止効果もある

警察庁のデータによると、日本の住宅に対する一日当たりの侵入窃盗の発生件数約159件(2013年)。エクステリアを検討する際は、必ず防犯にも考慮したい。
エクステリアにおいての防犯の基本は、「隠れられない」「逃げにくい」「見られている」。基本的には敷地を塀で囲んでしまうよりは、できる限り道路から敷地内が見えるオープンなつくりの方が防犯性は高い。

しかし、いくら侵入者が防げても家の中まで丸見えならば、生活しにくいだろう。防犯性とプライバシー保護のバランスが重要だ。そのため外からある程度見えにくい庭でも、防犯性を確保できるグッズが色々と販売されている。
たとえば歩くと音がする防犯砂利や侵入者がいると点灯する防犯灯、防犯カメラなどだ。
防犯カメラは効果が高いものの、何も後ろめたくない来客の立場からすれば威圧感があるのも事実。デザインや設置場所に配慮したい。

「この費用ならばここまでできる」。予算別エクステリア

エクステリアの予算は、建物の建築費の1割が目安だ。2,000万円の家ならば200万円。この価格帯から大きく離れてしまうと、家よりもエクステリアが立派過ぎたり、貧相に見えたりしてしまう。
とはいえ、だいたいいくら位出せばどのようなエクステリアになるのか知りたいところだろう。一般的な住宅のエクステリアの予算は以下の3つに分かれる。

150万円未満
必要最低限の機能を満たす仕様。多くは敷地を塀で囲わないオープンな外構だ。基本的には表札、ポスト、インターホンが一体となった既製品の機能門柱、コンクリート土間車庫、門柱から玄関までを飛び石でつなぐアプローチで構成される。このスタイルは、道路から中が見渡せるので防犯性が高く、また最近は装飾を省いたシンプルなデザインが人気なので予算の有無を問わず、あえてこちらを選ぶケースも増えている。

150万円以上250万円未満
もっとも一般的な予算帯。敷地を塀で囲むクローズ外構も可能だ。コンクリート土間の車庫にピンコロ石やジャノヒゲといった植栽をアクセントとして取り入れたり、玄関脇に大きなシンボルツリーを植えたりすることもできるのでデザインの可能性が広がる。

250万円以上
一般的な分譲地ならば、多くの人が満足できる仕様になる。たとえば防犯カメラや、勝手口と同じ高さで外につながりゴミ捨てが楽になるサービスヤードなどで機能性をアップ。また、広々としたウッドデッキやパーゴラ(日陰棚)といった癒し空間を設けることで、庭そのものを楽しめる仕様にする。最近は小魚や昆虫などが暮らす水辺であるビオトープや、多種多様な植物などで里山の自然を再現するスタイルも人気だ。

なお、下記積水ハウスのサイトでは、QRコードを利用して様々な樹木の解説やお手入れ方法などを簡単に入手することができる。
「5本の樹・野鳥ケータイ図鑑」

これらの価格は、いずれも高低差が少ないなど特殊事情がない敷地の場合。たとえば高低差が多く擁壁のやり替えなどが発生すると数百万円かかることもある。土地の形状などによっても費用は変わるので、上記価格はあくまで目安として理解してほしい。

小魚や昆虫などが暮らす水辺「ビオトープ」がある庭。多種多様な植物などによって野鳥も集まり、四季の移り変わりを楽しむことができる(画像提供:積水ハウス)小魚や昆虫などが暮らす水辺「ビオトープ」がある庭。多種多様な植物などによって野鳥も集まり、四季の移り変わりを楽しむことができる(画像提供:積水ハウス)

ありがちな失敗と対策

マイカーの大きさを考慮せずに建物を建ててしまうと、駐車したときにドアが開けられない状態になることもある。今のクルマだけでなく、将来購入したい車種も考えて車庫は検討したいマイカーの大きさを考慮せずに建物を建ててしまうと、駐車したときにドアが開けられない状態になることもある。今のクルマだけでなく、将来購入したい車種も考えて車庫は検討したい

エクステリアを検討する際に多くの人はデザインを重視する。大きく分ければ和風、洋風、シンプル&ナチュラルなどだ。
これらはほとんどのケースで、着工までにきちんと施工会社と打ち合せをするため失敗することは少ない。一方で見落としがちなのが使い勝手だ。

たとえば以下のような失敗例がある。
1.玄関への階段が急になってしまった
2.植木を植えようとした場所に給排水設備があった
3.給湯器などの排気口の前に植木を植えてしまって枯れた
4.車庫にマイカーを入れたら建物があってドアが開かない
5.決めていたシンボルツリーがあったのにスペースが狭くて植えられない

これらの失敗の多くの原因は、建物と同時進行でエクステリアの計画もしなかったこと。建物の大きさや配置を先に決めてしまうと、そのしわ寄せがエクステリアに及んでしまうのだ。
「まずは納得できる建物を」という気持ちもあるだろうが、戸建て住宅はエクステリアも含めて快適性が決まる。そのバランスは難しいところだが、優れた施工会社ならば満足できるプランを提示してくれるはずだ。建物と同時に納得できるまで相談をするべきだろう。

取材協力:積水ハウス
http://www.sekisuihouse.com/exterior/

2015年 04月08日 10時56分