拡大する市域、渋滞対策としてまず作られたのが南北線

地下鉄開業に合わせて西口駅前の整備も行われている。仙台はバスだけでなく、タクシーも多く、それも駅前渋滞の一因とか地下鉄開業に合わせて西口駅前の整備も行われている。仙台はバスだけでなく、タクシーも多く、それも駅前渋滞の一因とか

仙台の中心市街地は江戸時代、伊達藩の城下町だったエリア。現在は仙台駅からつながるアーケードのある商店街などとなっており、明治以降は市街地はそこを中心に広がってきた。第二次世界大戦で大きな被害を受けたものの、戦後、土地区画整理事業による復興が進み、昭和37年には新産業都市としての指定を受け、仙台港の整備などが始まったことから東方向に広がり、昭和40年代の高度経済成長期以降、人口の大幅な増加に伴い、市街地は同心円状に広がった。さらに市町村合併が推進された昭和60年代に宮城町、泉市、秋保町と合併、西、北方向にも拡大、平成元年には政令指定都市となった。

そうした拡大に合わせて地下鉄南北線が計画される。市内の渋滞緩和対策として、南北、縦方向の交通が必要とされたのである。「仙台市は市域を南北に貫く奥州街道沿いに発展してきたため、南北方向が人の流れ、交通の中心となっており、昔から仙台都心に流入する自動車による交通渋滞が問題となってきました。そこでその解消のために地下鉄が作られ、昭和62年7月に開業、平成4年には合併した旧泉市の中心地、泉中央まで延伸しています」(仙台市都市整備局計画部東西線沿線まちづくり課・遠藤弘一さん)。

その地下鉄を補完する公共交通がバス。仙台駅西口には日本でも最大規模のペデストリアンデッキ(歩行者回廊)が設けられており、地上部には約8,000m2のバスプールがあるが、それでもスペースは足りていない。「郊外の宅地開発などに伴うJR仙台駅を発終着とするバス運行本数の増加などにより、仙台駅前バス停は50余に上り、バスプールの他、路上に分散している状況。仙台駅前というバス停なのに、駅まで歩いて5分もかかるケースが出ているほどです。パンク状態が交通混雑の一因ともなっていますし、なにより利用者にとっては分かりにくく、とても不便です」。

バス頼りの交通、特に東西の行き来が不便なことは言うまでもない。そのため、仙台市では平成12年頃から地下鉄東西線整備に向け、ルートや車両機種、駅位置などを決定し、公表するとともに、沿線の街づくりを住民と協力して進めるため、地域に働きかけてきた。だが、東西線最大の目的は渋滞緩和ではないという。

東西線はコンパクトシティ化への布石

平成24年3月に策定された仙台市都市計画マスタープランに「都市づくりの基本方向」と題した図がある(下図)。かつての仙台市では仙台駅を中心に南北の地下鉄線上に、広域拠点2エリアを配し、市街地は外延的に拡大していく形で街づくりが行われてきた(下図左)。

だが、これから目標とする都市構造のイメージはそれとは大きく異なっている(下図右)。南北に加え、東西にも地下鉄線を配した上で、駅を中心に都市機能を集積し、市街地の拡大は抑制するというのである。同プランはこれを「機能集約型市街地形成と地域再生」としているが、分かりやすくいえばコンパクトシティ化である。東西南北、十字の都市軸に施設や人を集め、集約化していきたいというのである。

そのため、地下鉄東西線とその沿線開発には期待がかかる。「単なる交通手段としてだけではなく、駅ごとの特色を強め、人やモノの交流を活発化させることで、都市の軸として機能、発展することが期待されています」。沿線の街の魅力を高めることで、都市軸を中心に活動する人を増やし、無秩序な外延的な拡大需要を招かないようにしたいというわけである。また、公共交通利用者を増やすことで、クルマ利用を前提とする生活スタイルを変換、環境に優しいことはもちろん、人と触れ合える、歩いて暮らせる街にしてきたいという意図もうかがえる。

仙台市の目指す都市の姿を図化したもの(仙台市ホームページより)仙台市の目指す都市の姿を図化したもの(仙台市ホームページより)

高低差100m余をつなぐ個性の異なる13駅周辺には学校も多数

地下鉄工事中の青葉通り。左側中央の建物がシリウス一番町。上部はマンション。市内には他にもタワーが増えている地下鉄工事中の青葉通り。左側中央の建物がシリウス一番町。上部はマンション。市内には他にもタワーが増えている

では、東西線はどのような場所を走るのだろうか。東の八木山動物公園から西の荒井まで高低差は100mほどもあり、山から海近くの平地までの13駅は個性の異なる街を繋いで走る。

「八木山動物公園駅は仙台の子どもたちに人気の動物園、遊園地のある場所でお隣の青葉山駅は東北大学の青葉山キャンパス内に駅ができます。川内駅も東北大学川内キャンパスの目の前で、沿線には15もの大学キャンパスや高校があります。国際センター駅は大ホールやレセプション会場を備えた仙台国際センターや3月に開催された国際防災世界会議のメイン会場となった新展示施設が立地するなど、今後、国際都市仙台の中心となる学術文化交流施設の最寄り駅となります。大町西公園駅を経て青葉通一番町駅は繁華街の中心部に立地します」。

青葉通一番町駅周辺では駅直結の商業施設「シリウス一番町」が2014年3月にオープン、地元百貨店の店舗も建設中と、利便性アップを見込んだ開発が続いている。青葉通りでは車線を減らし歩道を拡幅する工事が行われており、歩行者、自転車が移動しやすくなる環境整備の取組みも行われている。

仙台駅では東西線と南北線が十字に交差、改札口を出ずに乗り継ぎできるようになっており、既存の地下通路経由でJR線とのアクセスもスムーズだ。そして地下鉄は現在開発が進んでいる仙台駅東口に近い宮城野通駅を経て旧市街地の連坊駅から薬師堂駅へ。

沿線では宅地開発も急ピッチ。仙台駅も大きく変わる

写真真ん中が東西の自由通路。この拡幅に合わせて両側の建物の建設が進んでいる写真真ん中が東西の自由通路。この拡幅に合わせて両側の建物の建設が進んでいる

「卸町駅は名の通り、これまで流通業関連の施設しか立地できませんでしたが、それを一部緩和して住宅も建てられるようになりました。六丁の目駅でも用途地域を近隣商業地域に変更、住宅や商業施設の立地を可能にしましたし、東の起点となる荒井駅周辺では市街化調整区域を市街化区域とし、土地区画整理事業を進めています」。

沿線各所で宅地開発が行われているわけだが、それ以外にも陸奥国分寺跡のある薬師堂駅で観光資源の整備が行われるなど、沿線は急ピッチで変わりつつある。現在では地域でまちづくりに係関わる人も増えており、イベントが開かれたり、散歩マップが作られるなど、地域全体として盛り上がってきているという。

また、こうした動きに呼応するように仙台駅でも改装工事が行われている。「仙台駅西口は戦災を受けたため、戦後、新しい街づくりが行われましたが、東口は戦前からの細街路などが残り、開発が遅れていました。そこで昭和30年代から順次区画整理事業が行われており、あと数年で完成というところ。10年ほど前には東口から1.5キロほどの場所に楽天イーグルスの本拠地が置かれ、人の流れが増えたこともあり、近年は東口にも商業施設などが徐々に進出しています。ところが、東西を結ぶ自由通路は幅6mと狭かったことから、行き来しにくい。そこでJRと協議、現在、これを16mに拡幅する工事が行われています。合わせて東口広場を再整備、中長距離の高速バスのターミナルを集約し、さらに東口に近い場所に改札も新設されることになっています」。

自由通路の拡幅に伴い、JRでは通路の両側に商業施設を作る計画をしており、さらに東口に低層階に商業施設、高層階をホテルにした14階建ての建物の建設も。すでに工事は進行しており、自由通路、商業施設は2016年春、ホテルは2017年春の完成を目指している。

大型商業施設に水族館など、その他の開発も目白押し

駅前のペデストリアンデッキから見たパルコの建設現場。周囲には商業施設も多く、裏手には仙台朝市がある駅前のペデストリアンデッキから見たパルコの建設現場。周囲には商業施設も多く、裏手には仙台朝市がある

地下鉄開業、仙台駅に商業施設、ホテルの登場と仙台市は大きく変わりそうだが、開発の予定はこれだけではない。駅西口の商業施設イービーンズ北側では駐車場として使われていた土地を利用して、2016年完成を目指してパルコ新館の工事が行われており、駅東口ではヨドバシカメラが音楽ホールを備えた新ビル建設を計画。こちらも2016年頃の開業を目指していると伝えられている。

また、青葉山に移転する東北大学雨宮キャンパス跡地をイオンモールが落札したことも話題になっている。敷地の引き渡しは2018年2月とまだだいぶ先のため、計画の詳細は分からないが、都心部に近い立地のため、単なるショッピングモールにとどまらない多機能な複合施設になるのではないかとの声もある。

さらに仙台港背後地では2015年7月の開館を目指して仙台うみの杜水族館が建設されている。今のところ、まだ、あまり話題になっていないようだが、水族館経営では実績のある八景島シーパラダイスの運営会社が株主として参画しており、その手腕に期待がかかる。

以上、開発相次ぐ仙台の様子をまとめた。こうした開発が東北の経済を牽引、復興への拍車になることを祈りたい。

2015年 04月06日 11時07分