2つの区に分かれている金山(かなやま)総合駅

「みんなで楽しいことをしているときの一体感が大好き」という片桐さん。“イベントをつくる人も参加する人も楽しく!”をモットーに活動しているという「みんなで楽しいことをしているときの一体感が大好き」という片桐さん。“イベントをつくる人も参加する人も楽しく!”をモットーに活動しているという

「金山総合駅は、名古屋市中区金山と名古屋熱田区金山に分かれているんです。北口側は中区で、南口側は熱田区。名古屋市民でも知らない方が結構多いんですけどね」

こう話すのは、南口側にある「金山商店街振興組合」の理事長・片桐栄子さん。
金山商店街は金山総合駅南口から東西に約100m、南に約600mの、大津通・伏見通・八熊通(やぐまどおり)という幹線道路に囲われた狭いエリアだ。もともと住宅がほとんどなく店舗が多い場所なのだが、2014年に行われたあるグルメイベントを機に、飲食店がけん引する形で商店街全体の活動が活気づいているという。

「一時、世代交代や後継者不足などで商店街振興組合の加盟店数が40を割ってしまったときがあったんですけど、だんだん復活してきて今は47までになりました。どこの商店街でも加盟店が減っているという話を耳にするなかで増えているということは、私たちの活動が認められてきたのかな、と自負しています」

手応えを語る片桐さんだが、実は金山商店街の活性化活動の歴史はそれほど長くなく、本格的に取り組みを始めたのは片桐さんが理事長になった7年ほど前からだという。

「金山商店街振興組合自体は50年続いていますが、年々会員さんが減っていき、このままではいけない、何かしなければ! と思いました。理事長を任されてからは、よその商店街の定例会議などに参加させてもらったりイベントを見学させてもらったり、積極的に交流するようにしてきました。大きなイベントを長年やっていらっしゃる商店街も多く、羨ましいと思うこともありますが、うちはうちのやり方がある! うちはうちのやり方で活動しよう! と前向きに取り組んでいます」

手探りで一つ一つ、さまざまなイベントを実施

ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋での盆踊り大会の様子。真夏でも暑さを気にせず盆踊りを楽しめると来場者に好評ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋での盆踊り大会の様子。真夏でも暑さを気にせず盆踊りを楽しめると来場者に好評

片桐さんが理事長になって初めて手がけたイベントが、2008年に金山総合駅南口広場で実施した商業フェスタ「金山フェスティバル」だ。4月末から5月始めのゴールデンウィーク期間中に「金山マルシェ・ジャポン(市場)」と「第1回よさこい夢まつり」を開催した。

「さまざまな方に指南を仰ぎながら手探りで進めました。あちこち奔走し、何もかも1から手づくりでしたから本当に大変でしたが、この活動が商店街活性化の取り組みの原点となったことは確かです。金山マルシェは現在も毎月1回行っていて、近隣の農家の方が育てた新鮮なお野菜などがテントにいっぱい並んで、お客様にとても喜んでいただいているんですよ」

さらに、2010年からは金山総合駅南口の地域資源を生かした特長的なイベントも行っている。
南口には「ANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋」があるのだが、同ホテルが大宴会場を提供し、毎年盆踊り大会を開催しているというのだ。会場ではやぐらステージショーやゲーム、抽選会などが催され、屋台や飲み物コーナーなどの出店もある。

「内容はごく普通の町内の盆おどりですが、グランコートホテルさんや商店街の方たちが協力してくださるので、抽選会の景品がホテルのディナー券とか、とても豪華なんです。入場の際には、おとな1,200円、子ども500円の飲食チケット付き入場券が必要になりますが、どこからお越しの方でも参加いただけるので、毎年楽しみに来られる方も多いんです」

手羽先サミット開催!つくり手が夢中になることも活性化の秘訣

第1回目の「手羽先サミット」の様子。2015年6月の第2回「手羽先サミット」も盛り上がりそうだ!第1回目の「手羽先サミット」の様子。2015年6月の第2回「手羽先サミット」も盛り上がりそうだ!

そして2014年には、冒頭で述べた“商店街を活気づけるきっかけとなったあるグルメイベント”が行われた。第1回「手羽先サミット」だ。

もともと「名古屋めし」に興味があった片桐さん。だが、各地で行われるグルメイベントを見ていると雑多なメニューが対象になっていることが多いため、もっと熱田らしい、もっと金山商店街らしいカラーを出したイベントができないものかと考えていた。そこで、地域の名古屋めしについて情報を集めてみたところ、手羽先で有名な老舗店の第1号店舗が熱田区にあったことがわかり、まずは試みとして「手羽先サミット2014」を開催する運びになったという。

片桐さんたち金山商店街振興組合は、同年1月からさっそく準備を進めた。日本各地の手羽先自慢の店に参加を呼びかけたところ20店舗の出店が決まり、6月上旬にはイベントを実施。創業30年以上の老舗店や、名古屋でなじみの有名店が味を競い合った。開催地はもちろん金山総合駅南口広場で、2日間で約3万人が足を運ぶ大盛況ぶりだったそうだ。

この手羽先サミットは、2015年6月6日(土)・7日(日)に第2回目を開催することが決定している。2回目を開催する理由は、九州の店に第1回目の優勝を奪われてしまったからだ。

「名古屋の店が優勝したら1回で完結だったかもしれません。でも、負けたことで“初代グランプリ店を迎え撃つ名古屋勢”という感じでもう1回やりたい! という思いが私たちのなかに芽生えたんですね。だから2015年6月に、また手羽先マルシェを開催します」

イベントのつくり手が夢中になることで、次のイベントが動き出すこともあるようだ。

専門学校とのコラボで生まれた公認キャラクター「かなきち」

こうした精力的な活動が功を奏し、さまざまな“連携”も生み出している。

金山商店街のホームページには、金山南エリアキャラクターの「かなきち」があちこちに登場している。かなきちは、名古屋栄にあるNCA(名古屋コミュニケーションアート専門学校)の学生が考案したものだが、商店街振興組合が同校にキャラクターをつくってほしいと依頼したわけではないという。

「確か2011年頃だったと思いますが、NCAの先生から『商店街とコラボしてキャラクターをつくってマップを作りたい』という申し出があったんです。うちが活性化活動に励んでいるので白羽の矢が立ったんでしょうね。10人ぐらいの学生さんがこの取り組みに参加してくれるということだったので、まずはオリエンテーションの場を設けて金山商店街に対する私たちの思いを学生さんたちに伝えました。そのあと学生さんたちが、かなきちをはじめ、熱田神宮をモチーフにしたキャラクターなど思い思いのキャラクターを考えて、提案してくれました」

商店街振興組合と学生たちで3回ほど会議を重ね、最終的に理事全員で意見を出し合って公認キャラクターを「かなきち」に決定したとのこと。これこそまさに、商学連携の好事例といえるのではないだろうか。

金山商店街のホームページに掲載されているイラストマップと「かなきち」金山商店街のホームページに掲載されているイラストマップと「かなきち」

目標は北と南の商店街の連携! “来たくなる金山”を目指して

もう一つ、商店街内の身近な連携も成功例として挙げられる。
金山商店街に音楽事務所があり、「ちゃっぴーズ」というアイドルグループが所属していた。そこに片桐さんが着目し、声をかけたという。

「せっかくここで練習しているなら商店街とコラボして何かできないか、ということで、まずは盆おどりで歌っていただいたんです。それからは、ちゃっぴーズというもともとの名前に金山を付けて“金山ちゃっぴーズ”ということで、公認アイドルとして金山商店街のイベントや区民まつりなどに参加してもらうようになりました。とても純粋なかわいい子たちなので、皆さんに親しまれて好評ですよ」

こうして、イベントづくりや広報活動まで幅広く活性化に取り組んでいる金山商店街振興組合。勢いよく活動している今、どんなことに課題を感じているか、今後どんな商店街にしていきたいか、片桐さんに尋ねてみた。

「今の金山は乗り継ぎ駅でしかなく、『ちょっと時間が余ったからお茶でも飲もうか』というときには便利ですが、滞留できる場所ではないんです。セントレアからの玄関でもあるので、せっかくなら『金山へ行く!』という目的意識を持って来ていただける場所にしたいですね。そうするために、ぜひ北口側の商店街さんと一緒に何か取り組みをしたいと思っています。金山総合駅を利用するお客さんを巻き込んで、南と北の商店街が一体となってグルメイベントなどができるといいですね」

金山総合駅の利用者にとっては、南口と北口の両方で楽しくてお得なイベントをやってくれるというのは大歓迎! ぜひとも“行きたくなる金山”を実現してほしいと思う。

■金山商店街振興組合
http://www.kanayama.info/

片桐さんを笑顔で囲む「金山ちゃっぴーズ」(アメージングプロモーション所属)。<br />元気いっぱいのパフォーマンスで金山商店街の活性化に貢献している片桐さんを笑顔で囲む「金山ちゃっぴーズ」(アメージングプロモーション所属)。
元気いっぱいのパフォーマンスで金山商店街の活性化に貢献している

2015年 02月04日 11時10分