東京都心から約1時間の通勤圏内に、おとぎ話から抜け出したような集落が!

『藁(わら)の家』と聞いて多くの方がイメージするのは、子どもの頃に読んだ『三匹の子豚』の絵本に出てくる一番目の子豚の家ではないだろうか?18世紀に作られた物語の中では、子豚が作った藁の家はオオカミに吹き飛ばされてしまうが、21世紀の現代では“地球環境にやさしい高断熱の家”としてその構造に世界的な注目が集まっている。

そんな藁の家=ストローベイルハウスの建築を環境協定に掲げた集落が、このたび埼玉県比企郡鳩山町に登場したと聞いて、早速現地を訪れてみた。…すると、そこには東京都心から約1時間の住宅地とは思えない“おとぎ話から抜け出したような風景”が広がっていた。

▲『池袋』から急行で約46分、東武東上線『坂戸』駅からバスで約14分ののどかな住宅地に<br />ぽってりとした丸い屋根・丸い窓のかわいらしい邸宅を発見!<br />こんなストローベイルハウスだけが建ち並ぶ集落が実在するとは…絵本のようなメルヘンの世界に夢が広がる<br />(写真は『ピースヴィラはとやま』モデルハウス)▲『池袋』から急行で約46分、東武東上線『坂戸』駅からバスで約14分ののどかな住宅地に
ぽってりとした丸い屋根・丸い窓のかわいらしい邸宅を発見!
こんなストローベイルハウスだけが建ち並ぶ集落が実在するとは…絵本のようなメルヘンの世界に夢が広がる
(写真は『ピースヴィラはとやま』モデルハウス)

都心生活のストレスからの解放…代表自身の“夢”をカタチにした集落の誕生

▲株式会社エコハウス代表取締役の神橋和弘さん。以前写真で見た『ストローベイルハウス』のぽってりとしたかわいらしい曲線の外観が心に残り、“いつかこういう家を建ててみたい”と夢を抱いていたそうだ。モデルハウスのリビングには天井照明が一切無く、壁際の間接照明のみ。漆喰塗りの壁にやさしく広がる灯りがなんとも心地良い▲株式会社エコハウス代表取締役の神橋和弘さん。以前写真で見た『ストローベイルハウス』のぽってりとしたかわいらしい曲線の外観が心に残り、“いつかこういう家を建ててみたい”と夢を抱いていたそうだ。モデルハウスのリビングには天井照明が一切無く、壁際の間接照明のみ。漆喰塗りの壁にやさしく広がる灯りがなんとも心地良い

日本初のストローベイルハウス村『ピースヴィラはとやま』を企画・販売しているのは、株式会社エコハウス(本社:埼玉県川越市)。もともとは自然素材にこだわったリノベーション専門の会社だったが、代表の神橋和弘さんの“夢の実現”をきっかけに、ストローベイルハウス村のプロジェクトが同社でスタートしたという。

「僕自身が東京都心のマンションで暮らし続けていて、心身ともに疲れきってしまった時期があったんです。気分転換にドライブをしながら郊外の町をまわっていたときに、“ああ、こういう大自然の中で暮らしたら、もっと充実した人生を送れるんじゃないか”と思い立ったのが一番最初のきっかけでした。

その時ふと思い出したのが、以前写真で見て興味を抱いていた『ストローベイルハウス』という住宅です。ぽってりとした曲線のかわいらしい家ばかりを集めた集落を作ることができたら…同じような感性を持った人たちが集まって、楽しい田舎暮らしを満喫することができたら…と、“夢”を描くようになりました。

何か所か土地をまわって検討したのですが、都心からほど良い距離感で大自然に囲まれたここ鳩山町がイメージにぴったりだったため、4,024m2の土地を取得して開発に着手し、『ストローベイルハウス』の建築を環境協定とした宅地分譲をおこなうことにしたのです」(神橋さん談)

断熱材を『藁のブロック』にすることで断熱性能がアップ!
耐震性も一般の木造住宅と変わらないストローベイルハウス

▲『ピースヴィラはとやま』の総面積は4,024m2。2,969m2を宅地開発し、7区画が売り出された(うち1区画はモデルハウス/既分譲)。ストローベイルハウスの建築という条件を筆頭に、街のイメージを損なうようなアルミ製のカーポートを作ってはいけないなど、独自の景観協定が設けられている▲『ピースヴィラはとやま』の総面積は4,024m2。2,969m2を宅地開発し、7区画が売り出された(うち1区画はモデルハウス/既分譲)。ストローベイルハウスの建築という条件を筆頭に、街のイメージを損なうようなアルミ製のカーポートを作ってはいけないなど、独自の景観協定が設けられている

ところで、みなさんは『ストローベイルハウス』とはどんな構造の住宅か、ご存知だろうか?

歴史を紐解いてみると、もともとは19世紀の終盤にアメリカ・ネブラスカ州で誕生した建物構造で、乾燥した大草原が広がるネブラスカ州では木材を調達することが難しかったため、藁のかたまりをブロック状に切り取り、積み上げて住宅を作り上げた。それが『ストローベイルハウス』の誕生だ。

本場アメリカでは、ベイラーと呼ばれる農業用の機械で藁を圧縮しブロック状に固めた『ストローベイル』だけを積み上げて耐力壁を作り、住宅の構造躯体を完成させることもあるが、日本国内では建築基準法の耐震基準に合わせてまずは木造軸組工法で耐震構造躯体を作り、その外側・壁面にストローベイルを積み上げ、上から漆喰を塗り、防水塗装を施して完成する。

つまり、一般的な木造住宅では『断熱材』と『外壁材』に覆われるはずの部分を、『ストローベイル』と『漆喰』という自然素材で覆うことになるのだ。

こうした自然素材を採り入れることで、『ストローベイル』特有の断熱性・防音性、『漆喰』特有の調湿性・消臭性・CO2吸収効果(環境負荷の低減)等が期待できるため、近年は地球環境や住む人にやさしいエコロジーハウスとして注目を集めている。

実際に、取材した当日はダウンコートが必要なほどの寒空の曇天だったが、モデルハウスの中へ一歩入ると暖房無しでも十分に温かい。杉のムク材を使ったフローリングから足元にひんやりとした冷気が伝わることもなく、改めて『ストローベイル』の断熱性能を体感することができた。

“夢を持って暮らせる集落”こそ、現代の日本に必要な生活の場所

「この『ストローベイルハウス』は、坪単価が55~58万円と建築コスト面でもメリットがあるのですが、まだ国内での認知度が低いぶん『ストローベイルを積み上げる専門職人の不足』や『良質なストローベイルの確保』など、様々な課題があります。今後は人材の育成を含めて、『ストローベイルハウス』の普及に努めることができたら…と考えています」と神橋さん。

また、未来型の集落のあり方を目指し、『シェアヴィレッジ』をテーマにして、集落の中に『堆肥用のコンポスト』、『ピザ窯のあるバーベキュースペース』、『サッカーやバスケットも楽しめる公園スペース』を設けるなど、神橋さんが描いている“夢”は一歩ずつ実現に向かって歩みを進めている。

「“夢を持って暮らせる集落を作りたい”…これが僕の今の“夢”です。この夢が実現したら、こんどは海外に『ストローベイルハウス村』を作ってみたいですね(笑)」(神橋さん談)


■取材協力/ピースヴィラはとやま
http://www.peace-villa.com/index.html

▲トカイナカ…『都会』に近い『田舎』暮らしが自分の理想だと語る神橋さん。<br />今後は、『ピースヴィラはとやま』に共感する人々とイベントを行ったり、<br />ストローベイルハウスづくりのワークショップを開催するなど、<br />トカイナカからの情報発信をおこなう計画もあるそうだ<br />(上は『ピースヴィラはとやま』施設マップイラスト)▲トカイナカ…『都会』に近い『田舎』暮らしが自分の理想だと語る神橋さん。
今後は、『ピースヴィラはとやま』に共感する人々とイベントを行ったり、
ストローベイルハウスづくりのワークショップを開催するなど、
トカイナカからの情報発信をおこなう計画もあるそうだ
(上は『ピースヴィラはとやま』施設マップイラスト)

2015年 01月06日 11時07分