木材利用ポイントが導入された背景には、低い国産材の自給率

木材利用ポイント制度をご存知だろうか。地域材の利用拡大を目的として、一定の要件を満たす木造住宅の建築や木材製品の購入などに対してポイントを付与するものだ。都道府県によって対象となる地域材や住宅工法が異なるなど少し分かりづらい面もあるが、2009年から2011年にかけて実施された「家電エコポイント」や、2010年から2012年に行われた「住宅エコポイント」の「木材版」だと考えればイメージしやすいかもしれない。

現在、国内の森林資源は約49億立方メートル(2012年速報値)が蓄積され、かつ、毎年の増加量は8千万立方メートルにのぼるようだ。それに対して年間の用材需要量は7千万立方メートル(2011年)であり、国産材の自給率は26.6%(2011年)にすぎない。要するに国内の森林資源が余っているわけだが、このまま木材の利用が進まず間伐材が伐採されないと、森林による二酸化炭素吸収量の減少や、土砂崩れの頻発、病害虫の発生など、さまざまな弊害をもたらすものとされている。しかし、森林資源が過剰なら伐採して焼却処分すれば良いということにはならないだろう。

木材を利用することにより、森林の適正な整備や保全、地球温暖化防止への貢献、循環型社会の形成のほか、森林資源が豊富な農山村地域の振興や活性化も期待されているのだ。国は「森林・林業基本計画」において「2020年の木材自給率50%」を目標として掲げている。

木材を多く利用すればポイントがもらえる!木材を多く利用すればポイントがもらえる!

対象は新築、増築、購入、木質化工事、木材製品の購入など

木材の利用を促すため、林野庁の支援・補助事業(事業実施主体は公益社団法人国土緑化推進機構)として2013年4月にスタートしたのが「木材利用ポイント」だ。当初は2014年3月31日までの着工分を対象としていたが、2013年度補正予算により期限が半年間延長され、2014年9月30日までとなった。あと残り4か月あまりしかないが、木材利用ポイントについて改めてその内容を確認しておくことにしよう。

【木材利用ポイントの対象となるもの】
□ 地域材を一定以上活用した木造住宅の新築、増築、購入
□ 地域材を一定以上活用した住宅の内装や外装の木質化工事
□ 地域材を一定以上活用した木材製品や木質ペレットストーブ、薪ストーブの購入

ここでいう「地域材」とはスギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツなど、あらかじめ指定された対象木材であり、家を建てたりリフォームしたりするときに、これらを一定基準以上に利用すればポイントがもらえるのだ。ただし、都道府県ごとの協議会または有識者委員会で認定され、事務局に登録された「登録工事業者」が施工するとともに、指定された工法であることなども要件となる。対象となる地域材や工法などについては都道府県によって異なる部分もあるので、詳しくは工事を依頼しようとするハウスメーカーや工務店などに問い合わせて欲しい。

付与された木材利用ポイントは、地域の農林水産品、農山漁村における体験型旅行、一般型商品券・プリペイドカード・地域型商品券、農林水産品関連商品券などと交換できるほか、被災地に対する寄付や他の工事費用に充てるための即時交換なども可能だ。

なお、木造住宅の建築や木質化工事などは「2014年9月30日までに工事着手すること」を要件としているが、この制度では工事請負契約の締結をもって工事着手とみなすことになっている。

木材利用ポイントの付与数と申請方法

木材利用ポイント数は対象となる地域材の使用面積などで決まるが、木造住宅の新築、増築、購入では1棟あたりの上限が30万ポイント(30万円相当)となる。内装や外装の木質化工事における上限も30万ポイントだ。内装については床や内壁のほか、2014年4月1日から9月30日までの工事着手分では天井の工事も対象に加えられた。木造住宅の新築などにおけるポイントと木質化工事のポイントは併用できるため、主要構造材として一定量以上の地域材を使用した住宅を建築し、床や天井、内装、外装にも指定の地域材を活用すれば、最大で60万ポイント(60万円相当)を受取ることも可能だ。

対象となる木造住宅を新築または増築した場合には竣工時点、完成済みの建売住宅を購入した場合は購入時点、木質化工事は工事完了時点で木材利用ポイントの申請が可能となる。ただし、申請ができるのは1回だけである。また、木材製品、木質ペレットストーブ、薪ストーブの購入では、1製品あたり10万ポイントが上限となるものの、こちらは期限内であれば何度でも申請が可能であり、個々の製品の購入時点で申請をすることができる。

木材利用ポイントの申請書類は、事務局へ郵送もしくは全国約700箇所に設けられた申請窓口へ持参するが、木造住宅および木質化工事では代理申請も認められる。分からないことがあれば工事を担当したハウスメーカーや工務店、建売住宅の売主業者などに確認すれば良い。申請期限は2015年1月31日までだ。

木材利用ポイントの申請状況は意外と低調?

林野庁が2013年度予算の概算要求として2012年9月に提示した「地域材活用促進支援事業」の規模は55億円だった。それが2012年度補正予算に前倒しして組み込まれた時点で410億円に膨れあがり、さらに2013年度補正予算で半年間の期限延長とともに150億円が追加された。この延長にあたっては「消費税率引上げによる駆け込み需要の反動減等を回避するため」といった趣旨が掲げられ、本来の目的とは異なるニュアンスも感じられる。

総額560億円の予算規模となっているわけだが、木材利用ポイントの申請状況をみると受付が始まった2013年7月1日から2014年4月30日までの累計は、木造住宅および内装・外装木質化が39,884件、116億790万7千ポイント(1ポイント=1円)にとどまっている。また、木材製品およびストーブは5,311件、2億996万4千ポイントである。工事完了後の申請となるためこれから増えることも考えられるが、申請受付期間のちょうど半分を過ぎた時点で、予算のおよそ4分の1しか消化できていない状況だ。

また、木造住宅および内装・外装木質化の申請件数39,884件に対して、登録工事事業者数は46,465社(2014年5月時点)にのぼる。これには大手ハウスメーカーも含まれていることを考えれば、登録をしただけでまだ対象となる住戸を扱ったことのない中小工務店などもかなりの数にのぼるだろう。

木材利用ポイントの活用を促すため、2014年4月1日からは米国産の「ベイマツ」(米松)が対象地域材として加えられた(一部の県を除く)。ベイマツは輸入される北米材の中でも流通量が多く、梁や桁などの横架材、あるいは合板として利用される。さらに今後、オーストリア産の「オウシュウトウヒ」(欧州唐檜)も対象に加えられる予定だ。「国産材の自給率アップ」が制度の目的の一つとなっていたはずだが、たしかに「国産の地域材に限る」という規定はない。輸入材であっても、地域振興には寄与するとの判断があったようだ。

木材利用の促進は継続的な課題、木の良さを見直したい

大都市圏の住宅はマンションがかなりの割合を占めるようになり、とくに都心部ではこれまで防火面の観点から木造住宅を排除するような政策も行われてきた。しかし、近年は木造住宅であっても防火性能の向上が図られてきている。

木材には優れた調湿作用があり、冬などには室内が暖かく感じられる効果もある。木の香りやぬくもりによるリフレッシュ効果や鎮静効果、さらに抗菌作用や消臭作用などのほか、民間の研究によれば「木材をふんだんに使った高齢者施設のほうが、インフルエンザや怪我、不眠などの発生率が低い」という調査結果も示されている。室内で転倒したときも、コンクリートの床などよりも木材のほうが衝撃を吸収し、大きな怪我になるケースは少ないだろう。

林野庁はタレントを起用した延長PRイベントやキャンペーンを実施するなど、木材利用ポイントの周知に力をいれているが、この制度の有無にかかわらず住宅への木材の活用を積極的に考えていきたいものだ。

木材は環境にもやさしい素材。有効に活用したい木材は環境にもやさしい素材。有効に活用したい

2014年 05月29日 10時54分