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住まいコレクション | 音楽、そして家族との幸せな時間がある理想の家 | 雅楽師 東儀秀樹氏

東儀秀樹氏のご自宅1階にあるミーティングルーム

雅楽師として活躍する東儀秀樹氏。雅楽の伝統を継承しながら、ロックやポップスなど分野の垣根を越えた演奏・楽曲制作に取り組んでいます。趣味も幅広く、おもちゃ作りや絵画、クラシックカーコレクション、ギター、写真など多彩。そして、家庭では一児の父親で、子育てを楽しむ「スーパーイクメン」としての顔もあります。そんな多才ぶりを発揮する東儀氏のご自宅は、「理想の家」をめざして建てた家といいます。こだわりと想いの詰まったご自宅に伺いました。

モダンで住みやすくて、いつも家族の気配を感じていられる家

東儀氏のご自宅は、東京都世田谷区の閑静な住宅街の一角にあります。約120坪(約396m2)の敷地に建つ2階建ての一軒家に、奥様と8歳になる息子さんの3人家族で住んでいます。

東儀氏がこの家を建てたのは、6年ほど前のこと。

「家がある世田谷区の界隈は、僕が子どもの頃から住んでいた地域です。結婚してから何度か引越しを重ねながらもこの界隈から離れたことはなくて、“家をもつなら住み慣れたこの地域がいい”と決めていました。運よくこの場所にめぐり会えて、庭付きの空き家が建っていたところを庭だけ残して更地にし、家を建てました」と、東儀氏。

家づくりにあたっては、東儀氏にはさまざまなこだわりがあって、担当した建築士と幾度もの打ち合わせを重ねながら家を完成させたといいます。

「建築士さんに提案したのは、デザイン的にはシンプルで飽きのこない、清潔感のある家。それでいてモダンでかつ機能性も備えていること。そして何よりこだわったのは、家の中のどこにいても家族の気配を感じることのできるような造りにしたいということでした。そんなすべての希望が叶い、理想の家を建てることができました」。

東儀氏のこだわりは、まず、案内していただいたミーティングルームにも現れていました。庭に面していて、窓越しには四季折々の緑はもちろんのこと、息子さんが庭で遊んでいる姿も見られるといいます。ここは東儀氏の仕事の打ち合わせの場ですが、

「初めて会う方もいらっしゃいます。どうせなら僕の趣味とリンクさせて、僕がどういう人間なのか、伝わるような部屋にしています」。

室内は東儀氏がコレクションしている名車のミニカーやギター、自作の絵画、手作りのおもちゃ、息子さんと合作した段ボール製のギターなどで飾られ、東儀氏の多彩な趣味や息子さんとのふれあいが感じられるアットホームな雰囲気の空間になっています。ガレージと隣接し、ガラス越しに東儀氏の愛車を眺めることができるというのも、大の車好きの東儀氏らしい演出です。

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ミーティングルームに隣接するガレージ。子どもの頃からバイクや車が大好きという東儀氏。今では毎年クラシックカーラリーに参戦しているといい、ご自宅のガレージにはAC‐ACE、MG‐TDなどクラシックカー5台とバイク2台が並んでいます。車の美しさが映えるよう、ガレージの照明には白熱電球を多用しているのだそう。「白熱電球は影の現れ方が自然ですし、光がやわらかくて好きなんです」。

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庭に設けられたバルコニー 東儀氏のご自宅は、庭をL字型に囲むようにして建てられています。庭には桜や梅、松、モミジなどの木々が枝を張り、四季折々の表情を見せてくれるといいます。バルコニーでは息子さんと一緒に昆虫を観察したり、夏には家族で線香花火を楽しむこともあるそうです。

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手作りおもちゃについて語る東儀氏。 もの作りが好きで工作も得意という東儀氏。息子さんが生まれてからはペットボトルでさまざまなミニカーを作るようになったといいます。息子さんに喜んでもらえるのも嬉しいし、東儀氏自身の「モノに対する見方」がより一層磨かれたことも収穫といいます。

自宅のスタジオで納得のいくまで音楽創りができる

次にご案内いただいたのは、スタジオです。作曲や編曲など、東儀氏の音楽はこの部屋で創り出されています。その音楽創りのスタイルはピアノや五線紙を前にして悩みながら曲を構築するというものではなく、いきなり頭の中でひらめくという東儀流。

「伴奏する楽器もすべてが一緒になって、頭の中で音楽が鳴り出すんです。そうして曲想ができていき、“これを録音しておきたい!”という気分になったとき、すぐに家のスタジオで取りかかることができます」と東儀氏。

スタジオ内に置いたピアノ、ギター、ドラム、ベースなどを自身が演奏し、仕上げていくといいます。

「スタジオを借りての作業だと、自分の調子がいまいちでも、なにがなんでもやらなければならないわけで、音楽創りのどこかで妥協せざるを得ないことが出てきます。でも、自宅のスタジオだと、調子が悪いと思えば、“今日はこれ以上やってもダメだ”と、スパッと作業を中断できるし、気分がのっているときにはとことん、納得いくまで取り組めます。自分のペースで音楽創りができるので、満足しています」

壁一面には東儀氏が海外で買ってきたという楽器が飾ってあり、心ゆくまで音楽に浸れる空間。そこにはやはり音楽好きの息子さんがやってくることもしばしばといいますが、そんなときには作業の手を休め、息子さんと一緒にギターなど楽器を弾いたりして遊ぶのだそうです。

「仕事の時間が減ってしまって惜しい、なんて全然思いません。子どもが何かを親に話したい、何かを一緒にやりたいと訴えてきたときに受け止めてあげることが大切だと考えていますから。何より、僕自身、息子と過ごすひとときはすごく楽しい時間なんです」。

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作曲や編曲など、このスタジオで東儀氏の音楽が創り出されています。防音のためにコンクリート造りにし、遮音効果のあるドアを用いています。「この部屋に籠りきりになっても、”今日は天気がよさそうだな“とか、外の光を感じられるスタジオにしたいと思い、二重ガラスではありますが、窓を2ヵ所、設けています」。

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スタジオに飾られたさまざまな楽器 東儀氏が海外で買ってきた民族楽器のコレクションは約200点。そのなかから選んだ約40点が壁一面に飾られています。「そのときどきの気分で並び替えたり、自由にレイアウトして飾りたい」ということで、ネジや釘を打ちやすいよう、壁にベニヤ合板を貼って、その上に壁紙を張るという工夫をしています。

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CDが並ぶ棚 スタジオの一角にある棚にはお気に入りのCDが並んでいます。クラシックやジャズ、ロック、童謡などさまざまなジャンルの音楽を聴いているそうですが、最もよく聴くのは1970年代のロックといいます。

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ミーティングルームに置かれたギター 中学・高校時代はロックに熱中し、バンドを組んでいたという東儀氏。ギタリストになりたいと夢見た頃もあったそう。学生時代から集めたギター・コレクションは約20台にもなるといいます。

子どもの場所と大人の場所とのメリハリをつけている

「スーパーイクメン」としても注目を集めている東儀氏ですが、家の中は子どもの場所と大人の場所とのメリハリをつけているといいます。

今回の取材で見せていただいた部屋のほか、ご自宅にはダイニングキッチンや子ども部屋、寝室などもあり、

「それらは生活の空間です」と、東儀氏。

さらにこう続けます。

「生活の空間では、息子がおもちゃや本を散らかしていたりしていますが、僕は気になりません。子どもはいろいろなことに興味をもって、モノを取り出して見たりして散らかしてしまうわけです。そういう子どものワクワクした気持ちとか熱さというものは大切にしたいので、ある程度は雑然としていてもいいと思っています。それに対して、ミーティングルームなどは雰囲気が異なっています。いつも整然さを保っていて、お客様を受け入れる準備が整っています」。

このようにオンとオフのバランスがうまく取れている住まいを、東儀氏は

「家族と一緒に楽しく過ごせて、僕がいつも幸せな気持ちでいられる場所です。この家は僕の大好きな場所です」といいます。

家族3人でくつろぎ、ときにはお客様も通すというリビングルームには、東儀氏が特注した家具類とともに、奥様が作ったフラワーアレンジメントや息子さんによる木彫りの仏像がさりげなく置かれていました。

「家族が作ったものは、世界に一つしかないオリジナリティです。これを僕は大事にしたいです」

と語る東儀氏の声は、ひときわ弾んでいました。

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中2階のリビングルームへと続く階段にて 「エントランスと、中2階のリビングルームを結んでいるのがこの階段です。モダンで不思議な面白さを演出できていると思いますし、1階にあるスタジオやミーティングルームなどの仕事の場との、いい意味での境界線にもなってくれています」

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中2階のリビングルーム リビングルームは庭に面し、明るく開放的な雰囲気。家具は「この空間にぴったりなもの」にこだわり、すべて特注。写真手前の棚には東儀氏が選んだインテリアのほか、奥様によるフラワーアレンジメントや、息子さんによる木彫りの仏像などが飾られています。この部屋では家族3人で会話を楽しんだり、親しい友人を呼んでミニパーティを開くこともあるそうです。

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リビングルームにある、大きな鏡 リビングルームのソファの後ろには、大きな鏡がありますが、これは「鏡があると、部屋を広くみせる効果が期待できて、異空間を演出できます」という東儀氏の意図があってのもの。取材に訪れた日は快晴で、鏡には庭の木々の緑が鮮やかに映り出されていました。

#プロフィール / 東儀秀樹氏 雅楽師

1959年東京都生まれ。奈良時代から1300年に渡り、雅楽を受け継いできた東儀家に生まれる。父の仕事の関係で幼少期をタイ、メキシコで過ごし、クラシック、ロック、ジャズなど幅広い分野の音楽を吸収しながら成長。帰国して高校卒業後、宮内庁楽部に入り、篳篥(ひちりき)や琵琶などを宮中儀式や皇居で演奏するほか、海外公演にも参加。96年に宮内庁を退職。同年『東儀秀樹』でアルバムデビュー。雅楽の伝統を継承しながら、さまざまなジャンルとコラボレーションするなど、独自の音楽活動を繰り広げている。2015年3月には篳篥で日本の唱歌などを演奏したアルバム『日本の歌』をリリース。8月から始まったヴァイオリニスト・古澤巌氏、アコーディオ二スト・coba氏とのツアーも11月まで全国にて展開中。プライベートでは趣味人として知られ、ギター、世界の民族楽器の収集、イラスト、写真、マジック、クラシックカーレース参戦、スキューバダイビング、陶芸などを楽しんでいる。著書に『雅楽:僕の好奇心』『東儀家の子育て 才能があふれ出す35の理由』など。

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執筆者

  • 小林裕子
  • 小林裕子
  • フリーランスライター
  • 出版社等で飲食店業界の専門誌や健康情報誌の編集を経験し、フリーに。現在、「人と仕事」をテーマに取材・編集・執筆。さまざまな角度から「住まい」にかかわる仕事人を紹介していきたいと思います。共著に『駅弁革命~「東京の駅弁」にかけた料理人・横山勉の挑戦~』(交通新聞社)。

(2017/03/29)

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