2013年4月、日本銀行による金融緩和が実施された後、長期金利が上昇して住宅ローンの金利も上昇傾向をみせました。5月から7月まで3か月連続で金利が上がり、金利の先高観も強まったため、今のうちに住宅を買っておこうという消費者の動きもあったようです。ところが、最近は長期金利がやや下がり、金融機関は再び住宅ローンの金利を引き下げるなど顧客獲得競争が激しくなっています。通常は毎月の月初めに金利が見直されますが、みずほ銀行は8月中旬に金利引き下げを実施するなど異例の対応もありました。また、9月には各行が主力商品の金利を引き下げる動きが目立ち、2014年4月に予定される消費税増税を前にした駆け込み需要を取り込もうとする意図もあるようです。

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当初優遇はさらに手厚く

住宅ローンの店頭表示金利に対し、各金融機関は審査の結果に応じて優遇幅を設定したうえで、実質的に金利を引き下げる措置を講じています。この場合、借入期間中のすべてにわたって同一の優遇幅を適用する場合と、借入当初の一定期間について優遇幅を大きくする場合とがあります。たとえば、三菱東京UFJ銀行の場合、「全期間優遇」では固定期間選択5年の金利は年1.60%~1.90%ですが、当初期間重視タイプだと年1.10%まで引き下げられます。固定期間選択10年でも同様に年2.00%~2.30%のものが年1.50%となります。ただし、当初優遇の期間(5年間または10年間を選択)が経過した後は、優遇幅が縮小して毎月の返済額も増えることになります。
また、2013年6月には固定期間選択1年で年0.50%、同3年で年0.60%という超低金利の住宅ローンも登場しました。いずれも募集期間、募集枠などが限定されたものですが、一部の金融機関が日本銀行の特別融資枠を用いて商品を投入し、他行がそれに追随、対抗した形になっています。

メガバンクの横並びが崩れ、住宅ローン商品は多様化へ?

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住宅ローン商品の今後

これまでもネット銀行を中心に個性的な住宅ローン商品がいくつか提供されていましたが、大手銀行は横並び意識が強く、どこも同じという傾向が強かったでしょう。低金利競争で1行が引き下げを実施すれば、多少の日程的なズレがあるにせよ、他行がそれに追随して同じ金利となるケースが少なくありませんでした。金利だけでは差別化を図ることができないため、このところ独自のサービスを取り入れた商品がいくつも登場しています。それと同時に、各行の金利にばらつきが出てきているのが最近の大きな特徴です。
たとえば、みずほ銀行が2013年8月から取り扱いを始めた住宅ローンは、出産や子どもの進学、リフォーム費用の発生など出費が増える年に返済額を減らすことができます。1回あたり1年以内の減額ができ、借入期間中に累計で5年まで適用されます。減額した分は、共働きで家計収入が増加したり、子どもが就職したりしたときに返済を増やすことになります。また、特定の疾病によって返済免除を受けられる保険付きの住宅ローンは以前からありましたが、たいていは働けない状態が1年間程度続くなどの条件があり、すぐに免除されることはありませんでした。三井住友信託銀行では、特定の疾病にかかったときに猶予期間を設けることなく返済が免除される保険付きの住宅ローンの提供を始めています。
りそな銀行と埼玉りそな銀行では、女性向け住宅ローンのサービスを強化しています。乳がんなど女性特有の病気に対応した保険を通常よりも安い保険料で付けられるほか、頭金の制限をなくして購入価格全額の融資を受けられるようになっています。さらにホテルやレストランで割引が受けられるサービスも住宅ローンに付いています。また、インターネット専業の銀行でもその特性を生かしたサービスが強化されています。従来からあった「繰り上げ返済手数料無料」のサービスにとどまらず、住信SBIネット銀行は1円だけの繰り上げ返済にも無料で対応するようになりました。イオン銀行では住宅ローンの申込者を対象に、家具や家電品の購入資金を別枠で融資する商品の取り扱いを2013年8月末から開始しています。

※各金融機関の対応状況については、2013年8月時点のものとなります。
今後変更となる可能性もありますので、最新情報については各金融機関にお問い合わせください。

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